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SEOの歴史(検索エンジン編)
~ 検索エンジン年表 ~
1990年 | 世界初の検索エンジンと言われる「Archie」が誕生 |
1994年 | 「 Yahoo! JAPAN」「Infoseek」「Lycos」誕生 |
1996年 | 「 Yahoo! JAPAN」誕生 「Infoseek」日本上陸 「エキサイト」日本上陸 「goo」サービス提供開始 |
1997年 | GoTo.com(後のオーバーチュア)設立 google.comのドメイン取得 |
1998年 | 「Google」設立 「Yahoo! JAPAN 」がロボット型検索エンジンに「goo」を採用 「MSN サーチ」立ち上げ(後のBing) 「Lycos(ライコスジャパン)」 「フレッシュアイ」誕生 |
1999年 | 「NAVER」誕生(韓国) |
2000年 | 「Google」が日本語対応、Adwords開始 Amazon.comが日本でサービス開始 「 Yahoo! JAPAN」が「Google」の検索エンジンシステムを採用 「Baidu」誕生(中国) |
2001年 | 「エキサイト」が伊藤忠商事の子会社になる |
2002年 | 「エキサイト」が検索エンジン開発から撤退 |
2003年 | 「Lycos(ライコスジャパン)」「Infoseek」が楽天に吸収合併 |
2004年 | 「 Yahoo! JAPAN」が「Google」との提携を解消。独自の検索エンジン技術「YST」を提供開始。 日本のインターネット広告費がラジオを抜く |
2005年 | 「Google Maps API」の無料ベータサービスを開始 |
2006年 | 「おまかせSEO」サービス開始 |
2008年 | 「Find-A」サービス開始 |
2009年 | Microsoftが「Bing」をリリース |
2010年 | 「Yahoo ! JAPAN」が再び「Google」と提携 「Yahoo ! JAPAN」の検索エンジンに「Google」を採用 |
2011年 | 「Google」がディレクトリ型検索エンジンの提供を終了 パンダアップデート導入開始(ページの記事の品質、ボリュームを重要視) |
2012年 | ペンギンアップデート導入開始(低品質被リンクの重要性を低下) |
2013年 | ハミングバード導入開始(ニーズに正確に応えているページを評価) |
2014年 | ベニスアップデート(暗喩的ニーズである検索場所に近い検索結果を優先評価) |
2015年 | モバイルフレンドリーアップデートを実施(モバイル対応ページを優先評価) |
2017年 | 日本語検索アップデートを実施(オリジナリティと有用性を評価) 健康アップデートを実施(健康・医療系サイトの評価に大幅調整。信頼性重視) |
2018年 | スピードアップデートを実施(ページ読み込み速度が極端に遅いサイトの評価減) 「 Yahoo! JAPAN」がディレクトリ型検索サービス終了 |
2019年 | 「Google」が自然言語処理技術BERTを導入(文脈を読み、よりよいページを評価) 日本のインターネット広告費がテレビを抜く |
2021年 | コアウェブバイタルを実装 |
日々めまぐるしく環境や常識が変化していくIT業界ですが、
SEOの業界も例外ではありません。
今この瞬間も、「Google」の検索順位を上げようと模索している
経営者の皆様やWEBのご担当者様も多数いらっしゃると思います。
当社でもお客様の大切なサイトの順位を上げるべく、
日々多くの仲間が頑張っています。
しかしながらそのSEO対策の中身は、当社がSEOサービスとして
「Find-A」をリリースした2008年当時と比べても対策の方法や考え方は
全く違うものになっています。(もちろんFind-Aは最新のルールに対応しています。)
社内でも、当時のSEO対策の方法について「そういえばあの頃は~」と話題になり、
今とは全然違うSEO対策の内容について、盛り上がる事が今でもよくあります。
ではSEOの歴史を振り返って、今のSEOの検索エンジンのシステムが
どのように進化を遂げたのかを見ていきましょう。
1990年代~「Yahoo! JAPAN」の誕生~
今や誰もが知る、「Yahoo! JAPAN」は1994年1月にジェリー・ヤン氏と
デビッド・ファイロ氏という人物が開発し、翌年に法人化されました。
翌年の96年にはソフトバンクとの合弁により、日本法人「ヤフー株式会社」が
誕生しました。その時に誕生したのが「Yahoo!JAPAN」です。
1996年当時のプレスリリースを振り返ると「Yahoo! JAPANは
毎日1000万件以上のアクセス数を持つ」との記載がありますが、
今や10倍の1億回以上。
当時がいかにインターネット黎明期だったという事が数字からも分かります。
現在と違うのはアクセス数だけではありません。
検索エンジンの仕組み自体も「ディレクトリ型検索エンジン」が主流で、
今と全く別物でした。
ディレクトリ型検索エンジンって?
今は「ググる」事で調べたい情報はあらかた出てくる
便利な世の中となりました。
それは優秀な「検索ロボット」が日々WEBサイト上を々巡回し、
WEBサイトを世界中から見つけ登録しているからです。
今では当たり前になっている「ロボット型」の検索エンジンの性能から
考えると20年前の検索エンジンの環境は信じ難いものでした。
それが「ディレクトリ型」と呼ばれる検索エンジンです。
要は人力でWEBサイトを登録していた時代です。
具体的には、予めカテゴリーが定められており、適していると思われる
カテゴリーに人がサイトの登録作業を行います。
登録された内容は、人によって審査が行われ、
合格すれば掲載されるという仕組みです。
今考えると大変な作業をしていたのだとビックリします。
しかし、この方法にはメリットもありました。
実際に人の目で審査を行っているため、良質なサイトが集まりやすいという点です。
一方で、人力には限りがありますので、登録されるサイトの数自体は今と比べても
ずっと少ないものでした。
「ディレクトリ型」で最も有名だったのは、言うまでもなく
「Yahoo!JAPAN」ですが、2018年3月29日でサービスを終了しています。
「サーファー」と呼ばれるスタッフが日々良質なサイトを集め続け、
開始当初は15,000サイトだったものがサービス終了時は約80万サイトもの
登録がありました。
いくら人力とはいえ、80万サイトも集める労力は並大抵の事ではありません。
また、「Yahoo! JAPAN」以外の他社のディレクトリーサービスですが、
「Goo」や「excite」に登録できる「クロスレコメンド」も2019年に、
「livedoor」や「Fresheye」等が採用していた「Jディレクトリー」も
2014年にいずれもサービスを終了しています。
当時の「Yahoo! JAPAN」の発表によると
「ディレクトリ型検索は一定の役割を終えた」としています。
これはロボット型検索がいかに進化してきたかを物語る出来事でもありました。
ロボット型検索エンジンの誕生
先述した通り、ディレクトリ型検索に代わり、現在の検索システムの主流と
なっているシステムです。
ロボット型検索エンジンとは、人手に代わりクローラーと呼ばれるロボットが
サイトを巡回し、情報を判別して登録するシステムです。
1998年に「Yahoo! JAPAN」がロボット型検索エンジンに「goo」を採用し、
ディレクトリ型と併用する形でスタートしました。
その為、当時のSEO対策は、「ディレクトリ型」と「ロボット型」の
二つに対応する必要があり、対策方法も全く異なるものでした。
ディレクトリ型のSEO対策
ディレクトリ型は限られた世界の中で、
いかに上位表示させるかという所が重要でした。
「Yahoo!JAPAN」では、タイトル順に表示されていた事もあり、
サイト名が@から始まるものが多数あったのを覚えていますでしょうか。
ロボット型のSEO対策
対する当時のロボット型の対策といえば、
ページ数やサイト内のキーワード数、タイトルタグやメタタグが
お手本通りになっているか等、基準も比較的単純なものでした。
その為誰でも対策がしやすく、対策の敷居も低い事から、
過剰に対策を施したスパムサイトも乱立し検索をしても
探しているサイトがなかなか出てこないなんて事もありました。
「Google」の出現
「Google」の原型である「BackRub」という検索システムは、
すでに1996年には開発がされていました。
翌年の97年には「google.com」というドメインが登録され、
2000年には日本語にも対応し、サービスを開始しました。
また、「Google」のシステムが「Yahoo! JAPAN」のサーチエンジンにも
採用された年でもあります。
しかし2004年には提携を解消し、それぞれ独自の路線を歩んでいきますが、
2010年には再び「Google」を採用します。
これによって、「Yahoo! JAPAN」でも「Google」でもほぼ同じ検索結果が
表示されるようになったのです。
「Google」の検索エンジン対策
「Yahoo! JAPAN」の検索エンジン対策は、前述したとおり比較的単純な
対策で上位表示出来る事も多々ありました。
しかし「Google」の対策方法は違いました。
繰り返し実施される「Google」の検索エンジンのアップデートにより
評価基準が変わり、その度にSEO担当者やWEB担当者はアップデート内容に
対応すべくサイト改善に取り組んでいたと思います。
また対策内容の大きな特徴の一つに、「被リンク」という概念も取り入れました。
要は「外部対策」と呼ばれるものです。「内部対策」でサイト内部を適正化させ、
「外部対策」で他サイトからのリンクを集めるという二軸で対策を行う事が重要でした。
「価値があるページは数多くのサイトからリンクを貼られる」という考えのもと、
被リンクを多く集めたサイトが上位表示される時代でもありました。
繰り返されるアップデート
先ほども少し触れましたが、「Google」は検索エンジンの機能向上のため
大小のアップデートを繰り返し行ってきました。
本来は検索結果の上位に出てくるべきではないサイトが上位表示される事を改善する目的です。
結果として、ユーザーが使いやすい検索エンジンに進化を遂げ、
今や多くのユーザーの支持を得ています。
それではどのようなアップデートがあったのか、主なものを振り返ってみましょう。
パンダアップデート(2012年~)
内容が薄いサイトを排除するのが目的で、日本国内では2012年7月に導入されました。
海外では、前年に導入されていましたので、「いつ日本にも導入されるのか?」と
導入時期を気にしていた担当者の方もいらっしゃったかと思います。
このアップデートをきっかけに、サイトの内容の質を見直す
良いきっかけにもなったのではないでしょうか。
ペンギンアップデート
「パンダの次はペンギンか。次は何の動物が来るんだ?ライオンか?」と
当時の担当者がつぶやいていた事が印象的でした。
googleウェブマスター向けガイドラインに違反している
サイトを排除する事が目的です。
具体的には、キーワードをサイト内に不自然に詰め込み過ぎたり、
テキストリンクで低品質な被リンクを集めているようなサイトがターゲットでした。
この二つのアップデートにより、多くのサイトが順位変動の影響を受けました。
ハミングバード(2013年~)
ペンギンの次はライオンではなく、ハチドリでした・・・。
2013年9月に「Google」が発表した全く新しい検索アルゴリズムです。
「キーワード検索」から「会話型検索」を目指すべく、
処理能力が格段に向上した事が大きな特徴です。
辞書を引いて単語を調べるような感覚ではなく、自然に話しかけるような感覚で、
検索エンジンを利用できるようになりました。
例えば「近くのコンビニは?」「1メートルは何インチ?」と言ったように、
問いかけるように検索する事でユーザーが何を求めているのかを
瞬時に判別し、検索結果に表示してくれます。
これにより各段に検索しやすくなったと恩恵を感じるユーザーも
多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ベニスアップデート(2014年)
ヴェニスアップデートとも言いますが、これはユーザーが今居る場所の地域情報を
検索結果に組み込むアルゴリズムの事です。
地域名を入れなくても、検索するキーワードによっては、
自分の今居る周囲の情報を検索してくれるようになりました。
例えば、渋谷に居て、ラーメン屋を探そうとした場合、
ベニスアップデート以前は「渋谷 ラーメン屋」で検索する必要がありました。
それが、ベニスアップデート以降は地域名を入れずに「ラーメン屋」と
検索するだけで、渋谷周辺のラーメン屋を表示してくれるようになりました。
その為、全く同じキーワードで検索しても、居る場所によっては
検索結果が全く異なるという現象が発生するようになりました。
モバイルフレンドリーアップデート(2015年)
2015年4月21日「全世界でモバイルフレンドリーアップデートを開始する」と、
「Google」から発表がありました。これにより、モバイルの検索結果の世界では、
モバイルフレンドリーなサイトの検索順位が引き上げられるようになりました。
このアップデートでは、次のような事が求められました。
- スマートフォンの画面でレイアウトが崩れておらず、画面を拡大しなくても見やすい事。
- 横にスクロールする必要がない。
- 再生できないコンテンツが含まれていない事。
- リンクとリンクの間隔が適切である事。
また適用条件の特徴としては、「スマホやタブレット等の携帯端末のみ」
「日本語を含む世界中の言語」「個々のページが対象」といった点が挙げられます。
のちに2016年5月、モバイルフレンドリーアップデートの効果を更に高める
アルゴリズムの改善も行われています。
日本語検索アップデート(2017年)
2017年2月に、「Google」から発表されました。
その名の通り日本語に特化したアップデートになります。
内容が薄かったり、低品質なコンテンツを含むサイトと判定されると
順位が低下する場合がありました。
逆にユーザーにとって有益でオリジナルなコンテンツを保有する
サイトの検索順位が上がる事につながりました。
また、「Google」は「品質向上のため、今後も継続的に品質評価アルゴリズムの
さらなる改善を行っていく」ともアナウンスしています。
健康アップデート(2017年)
同じく2017年12月に発表された、日本語検索におけるアップデートの一つになります。
本アップデートでは、医療や健康関連のコンテンツを保有している
サイトが対象となり、医学的根拠の乏しいコンテンツの順位が下がり、
逆に医療関係者や医療機関等から発せられるコンテンツが上位に来るようになりました。
このアップデートの影響範囲ですが、医療や健康関連の検索の
約60%に影響すると「Google」から発表されています。
スピードアップデート(2018年)
モバイル検索において、ページの読み込み速度が
極端に遅いページが影響を受けました。
かといって、ページ読み込み速度が早いサイトの順位が上がった
という訳でもありません。
その為、影響範囲は限られており、一部の極端に表示速度が
遅いサイトのみが対象となりました。
しかし、WEBサイトがなかなか表示されないとユーザビリティが悪く、
離脱の原因ともなりますので、ページの読み込み速度を改善する事は
本アップデートに限らず今でも変わらない重要な指標の一つです。
BERT導入(2019年)
2019年10月、AIを活用した自然言語処理である「BERT(バート)」を導入しました。
はじめは英語圏からスタートしましたが、12月には日本語等の他の言語にも対応するようになりました。
これは当時、過去最大級のアップデートとも言われており、大きな話題にもなりました。
なぜここまで話題になるかというと、検索する際のキーワードや、文脈に対する理解度が大幅に向上したからです。
検索する際、今までは単語は理解出来るものの、文脈までは理解してくれませんでした。
検索の意図もくみ取ってもらえず、意図しない検索結果が出てくる事もしばしばありました。
それがBERT導入により、特に長い検索クエリに対して大きな影響が出るようになりました。
今までは長い文章で検索した際、検索エンジンが検索意図を正確に読み取れませんでしたが、
BERT導入のおかげで文脈まで理解してくれるようになりましたので、
よりユーザーの検索意図に沿ったコンテンツが上位表示されるようになりました。
今までうまく検索で上位表示がされなかった、上質でより関連性の高い
コンテンツが表示されやすくなったという事です。
コアウェブバイタルを実装(2021年)
「Google」検索のランキング要因として新しく
「コアウェブバイタル(Core Web Vitals)」が組み込まれました。
コアウェブバイタル(Core Web Vitals)とは、主にページ読み込み時の
ユーザビリティに大きく影響する次の3つのUX指標からなる「Google」の新たな取り組みです。
・LCP(ページ表示速度)
・FID(ユーザー操作に対する反応速度)
・CLS(コンテンツのレイアウトずれ)
これらの指標を改善する事で、ユーザビリティの向上にもつながります。
一見するとSEO対策とUX(ユーザー体験)はイメージが結びつかない方も
いらっしゃるかと思います。
しかし今回これらの指標を評価基準に組み込んだ事で、
今後はUXもSEOの評価にも大きく影響してくるかもしれません。
仮に影響をしなくても、UX改善はユーザーの満足度向上のためにとても大切な事です。
頻繁に実施されるアップデート
今回ご紹介させていただいたアップデート以外にも、「Google」は
頻繁にアップデートを行っています。
これはすべてユーザーの利便性を高めるため、Googleが日々改善をしているのです。
アップデートの内容によって、影響の大小や業界にも
違いがありますが、今回ご紹介しきれなかった
その他のアップデートをご紹介させていただきます。
まだまだあるいろいろなアップデート
- フレッシュネスアップデート
⇒情報の鮮度を重要視し、より最新の情報を検索結果に反映します。 - パイレーツアップデート
⇒著作権侵害のおそれがあるサイトの評価を下げます。 - クオリティアップデート
⇒コンテンツの品質の評価をするアップデートです。 - インタースティシャルアップデート
⇒過剰に広告を表示しているサイトの評価を下げます。 - フレッドアップデート
⇒広告を過度に表示させたり品質が低いサイトが影響を受けました。 - ピジョンアップデート
⇒ローカル検索と通常の検索のアルゴリズムが統合されました。 - Rank Brain
⇒AIを活用したアルゴリズムの要素です。
進化し続ける検索エンジン
皆さんも普段Googleで検索をする際、検索エンジンの性能が
上がってきている事を実感する事も多いと思います。
それは「ユーザーが求めるサイトが上位に来るようになった」という事の表れです。
検索エンジンのシステムが大きく変化しても、
「ユーザーが求めている情報を探しやすくする」という理念は、
「Yahoo! JAPAN」も「Google」も創業以来変わりはないと思います。
その変わらぬ理念が、技術革新や数々のアップデートを生み出し、
結果として私たちがより快適に検索エンジンを使えるようになったのではないでしょうか。
今後もGoogleはユーザーファーストを重視し、
繰り返しアップデートを続けていく事でしょう。
当社のSEOサービス「Find-A」のサービス内容も、立ち止まる事なく、
googleの動きに合わせて日々進化し続けています。
おかげさまで多くの企業様からご支持頂けるサービスに成長しましたが、今後も
「お客様とともに成長する」
という当社の企業理念のもと、お客様とエンドユーザーの皆様に喜んで頂けるサービスとして提供し続けてまいります。
サイトを運営される側の皆様も、「ユーザーファースト」の概念を大切にし、
サイトに掲載されている情報は「ユーザーにとって有益なものになっているのか」
「ユーザーが探し求めている情報が記載されているのか」という事を
改めて見直してみてはいかがでしょうか。