弊社にも多くのWeb担当者からお問い合わせをいただくペルソナ。
ペルソナってターゲットとは違うんですか?
ペルソナはターゲットよりも詳しい人物像を設定するんだ。
ペルソナを設定しないままだと、届けたいユーザーに効果的なアプローチができません。
この記事では、ペルソナとターゲットの違いやメリット、設定方法や設定する際の注意点をご紹介します。
この記事のレベル
重要度 | (5) |
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初心者度 | (4.5) |
難易度 | (3.5) |
この記事で学べること
- マーケティングペルソナとは?ターゲットとの違い
- ペルソナを設定するメリット
- ペルソナの設定方法
- ペルソナを設定する際の注意点
今すぐ覚えよう!ペルソナとは?
「仮面」や「人格」の意味を持つ、ラテン語の「persona」が語源のペルソナは、自社の商品やサービスを提供するユーザーの、架空の人物像のことです。
実際に架空の人物が実在しているように、年齢や性別、職業や年収だけではなく、居住地や家族構成、趣味やライフスタイルまで、詳細に設定します。マーケティングおいてよく用いられる戦略的な手法のひとつです。
SEO対策では、ユーザーのニーズに応えることが重要視されています。架空の人物像であるペルソナを設定しておくことで、ユーザーが何を求めているのか考えやすくなり、自社の商品やサービスの販売戦略・方向性などを決めやすくなるのです。
参考記事:ペルソナとは?ビジネスにおける重要性や分析手順を解説 | MarkeTRUNK
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似ている言葉に「ターゲット」があります。両者の違いをご存知でしょうか?
ペルソナとターゲットでは、架空の人物像をどこまで詳細に設定するのかが異なります。
ターゲットは「実在する属性」を指すことが一般的ですが、ペルソナはそれよりもさらに詳細な人物像を設定します。まるで実際に存在する人物のプロフィールのように、細かく決めていくことが特徴です。
例えば、エイジングケアを目的とした化粧品を例に挙げると、ターゲットは「40代の女性」などが考えられます。
それに対して、ペルソナは以下の表のようになります。
ターゲット | ペルソナ |
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ターゲットは「人物像に幅を持たせた大まかな概要」で設定しますが、この表からもわかるように、ペルソナはターゲットをさらに絞り込み「リアルな人物像」を設定するのです。
ペルソナ設定ができていないとどうなる?
ペルソナを設定しないままだと、届けたいターゲットに効果的なアプローチができません。例えば、誰に届けたいのか決めずに広告を出しても、なかなか成果にはつながらないのです。
また、ペルソナが設定されていないと、スタッフ感での認識を統一できません。外注ライターなどに商品やサービスのコンセプトが伝わらず、書き直すことになってしまうかもしれません。
効率的かつ効果的にマーケティングを行うためにも、ペルソナ設定が重要なのです。
ペルソナを設定するメリット4選
ペルソナを設定するメリットとして、以下の4つが挙げられます。
MERIT 1SEO対策に有効
GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果で、上位表示を獲得するためには、ユーザーのニーズを満たさなければなりません。
ペルソナを設定すると、ユーザーのニーズを把握しやすくなるため、SEO対策に大いに役立ちます。
【初心者必見!】SEO対策におけるペルソナ設定の重要性
コンテンツSEOは、SEOに強い記事を作成するうえで重要です。こちらでは、コンテンツSEOの概要から、記事の書き方、上位表示を目指すうえで押さえるべきポイントを解説します。
MERIT 2チームで共通した人物像を想像できる
ペルソナを設定すると、チームで共通した人物像を想像できることがメリットです。
チームには、性別や年齢、仕事内容や価値観が異なる様々なメンバーが所属しているため、ターゲットが曖昧だと、それぞれが想像する人物像も変わってきます。
特定の人物像をペルソナとして設定すると、共通の人物像を想像できるため、チーム全体で同じ方向を向いて進むことができます。
MERIT 3ユーザーの悩みや疑問を見つけやすくなる
詳細な人物像を設定すると、ユーザーの悩みや疑問を見つけやすくなることも、メリットの1つです。ペルソナのライフスタイルや趣味を分析し、行動や心の動きを想像することで、具体的なニーズや課題を把握しやすくなります。
ユーザーの悩みや疑問を解消する際の行動を想像すれば、集客効果の高い施策を実施できます。
MERIT 4時間とコストの削減になる
ユーザー像が明確になれば、その後行っていく施策も決まりやすくなります。
また、マーケティングに関わるチーム全員が同じペルソナを認識しているため、意見が割れてしまっても有効な施策を選びやすくなります。
効果的なアイディアをスムーズにまとめることができれば、時間やコストの削減につながるのです。
コンテンツマーケティングなどペルソナを取り入れやすい分野
ペルソナがよく用いられる分野として、「コンテンツマーケティング」「商品開発」「広告宣伝やクリエイティブ制作」が挙げられます。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティング、オウンドメディアの運営において、ペルソナは重要な役割を果たします。
自社で運営するオウンドメディアやWebサイトを検索上位に押し上げるためには、SEO対策が欠かせません。
SEOで重要視されるのは「ユーザーニーズを満たすコンテンツかどうか」です。
ペルソナを設定することでユーザー像が明確になるため、必要なコンテンツを見極めることができます。その結果ユーザーニーズを満たすだけでなく、検索エンジンからの評価を上げることにもつながるのです。
商品開発
新しく商品やサービスを開発する際に、ペルソナが役立ちます。
ペルソナを設定しておけば、「ユーザーはどういった機能を求めているのか」「どのようなデザインなら見やすいのか」「料金はどのくらいまで出せるのか」など、必要な点を考えやすくなるのです。
広告宣伝やクリエイティブ制作
広告やクリエイティブは、ターゲットとなるユーザーに届かなければ意味がありません。
Web広告、ランディングページ、メルマガ、チラシといった制作物がユーザーの心に残ることで、売上にもいい影響が出るのです。
ペルソナを設定していれば、制作物を見たユーザーがどう思うかをロジカルに考えられるため、広告宣伝やクリエイティブ制作においても重要といえます。
ペルソナの設定方法のコツ
ペルソナは具体的にどうやって決めるんですか?
実際にどのようにペルソナを設定するのか、設定方法を学んでいこう!
ペルソナの設定は、「自社の分析」「ターゲットの情報収集」「収集した情報の整理」の3つのステップで進めます。
STEP 1自社の強みを分析する
まずは、自社の強みを分析することから始めましょう。
分析には、「3C分析」のフレームワークを用いることをおすすめします。3C分析の3Cとは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字をとったものです。
市場や顧客・競合・自社の3つの視点から分析することで、より詳細な分析が可能になります。3C分析で自社と競合する他社の現状や、ユーザーのニーズや市場の状況を洗い出し、最適な戦略を導き出しましょう。
STEP 2情報を収集する
次に、ペルソナとなるユーザー像を明らかにするために、ターゲットの情報を収集します。
ターゲットの属性を決める際には、すでに自社の商品やサービスを購入しているユーザーや、興味や関心を持っているユーザーのデータを収集することで、スムーズに進められます。
データを収集する具体的な方法としては、
- 購入履歴
- アンケートやインタビュー
- 問い合わせやレビュー
- Webサイトのアクセス解析
- 競合他社の調査結果
などが挙げられます。
特に、貴重なデータとして積極的に集めたいのが、ユーザーの声です。
実際に商品やサービスを購入したユーザーは、完成したペルソナです。ユーザーの声を聴いて、感じている課題点などを整理しましょう。
また、購入に至らなかったユーザーに対しても、アンケートやインタビューを実施し、商品やサービスの不満などを聞き出すことも大切です。
購入や契約に至らなかった、内容に満足しなかったなどユーザーの不平や不満は、商品やサービスの販売戦略や方向性だけではなく、商品やサービスそのものの改善にも活用できます。
BtoCだけでなく、BtoBの場合も情報収集は必須です。
法人がサービス対象になる場合は、個人のニーズを深掘りするよりも、会社そのものや担当者に焦点を当てて課題を深掘りするのがおすすめです。
業種・市場規模・売上規模・従業員数など、BtoCと同様にできるだけ多くの情報を集めておきましょう。
STEP 3ペルソナ像を書き出す
最後に、得られたユーザーの情報をもとに、詳細な人物像を書き出しましょう。よりリアリティのある人物像を設定できるように、必要な項目と要素を埋めていきます。
基本情報 | 名前・年齢・性別・住所・居住状態(持ち家、賃貸、実家など)・家族構成・身長・体重・結婚や恋人の有無・交友関係・最終学歴 |
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仕事に関する情報 | 職業・役職・年収・通勤にかかる時間 |
ライフスタイル | 趣味・平日と休日の1日のスケジュール |
趣味嗜好 | よく見るテレビ番組や動画チャンネル・好きなブランド・購読している雑誌 |
価値観や目標・現在の状況 | 将来の夢・現在の悩み |
情報収集の方法 | よく見るWebサイトやSNS・インターネットの利用状況と利用時間・デバイスの種類 |
それぞれの項目と要素も、具体的に設定します。
例えば、趣味が映画鑑賞なら、どのようなジャンルの映画が好きなのか、映画館で見るのか動画配信サービスで見るのかまで、細部まで決めていきます。
ペルソナの設定では、人物の顔を見える状態にすることが理想です。
鮮明にユーザーをイメージできると、自社の商品やサービスを利用するユーザーのニーズを把握しやすくなるため、より適切なマーケティングができるようになります。
ペルソナの情報収集方法
ペルソナの人物像を明確にするためには、ユーザーに関する情報収集が必須です。
代表的な情報収集方法として、「既存顧客へのインタビュー」「アンケート調査」「社内でのヒアリング」が挙げられます。
既存顧客へのインタビュー
既存顧客を年齢や性別、居住地などでグループ分けし、代表的な顧客層にインタビューを行います。
インタビューする人数は多ければ多いほどいいですが、かかる手間やコストを考慮すると、最低限の人数に抑えるのがおすすめです。
1対1で話を聞くほか、複数人を集めて同時に話を聞いたり、実際に利用しているシーンで感想を聞いたりと、様々な方法があります。
自社の商品・サービスに興味を持ったきっかけ、購入・契約に至った理由など、質問する内容をあらかじめ決めてインタビューを行いましょう。
アンケート調査
既存顧客へのアンケート調査も1つの方法です。自社で調査できればコストを削減でき、ターゲットユーザーの意見を直接聞くことができます。
より多くのデータが欲しい場合は、リサーチ会社へターゲットユーザーへのアンケートを依頼する方法もあります。
社内でのヒアリング
営業や販売など、直接顧客と関わる社員へのヒアリングもおすすめです。
顧客を理解している社員に話を聞くことで、顧客のニーズや特性を新しく知ることができます。
ペルソナのデータを集めるために適切な調査方法を考えて、信頼できるデータを集めるようにしましょう。
ペルソナ設定の注意点・分析方法
誤った方法でペルソナを設定してしまうと、マーケティングの妨げになってしまう可能性もあります。
ペルソナを設定する際の注意点も知りたいです!
ペルソナを正しく設定するために、5つの注意点を確認しておこう!
POINT 1実在する人物像を設定する
例えば、高級化粧品を販売するために、「高級住宅街に住む会社経営の夫を持つ専業主婦」をペルソナに設定したとします。
設定したペルソナが、自分の周囲では見かけない人物の場合、リアルに想像できないため、マーケティングも上手くいきません。
「こういう人っているよね!」と誰にでも共感してもらえる、実在する人物像を設定することが大切です。
ただし、あまりにも複雑に設定してしまうと、間違った方向でマーケティングを進めてしまう可能性もあるため、必要のない項目や要素は削除し、わかりやすい人物像を設定しましょう。
POINT 2画像や写真も利用する
ペルソナを設定する際には、チームのメンバーの誰もがより詳細な人物像を想像できるように、画像や写真の利用をおすすめします。
ペルソナのズレは、マーケティングが上手くいかない原因にもなるため、共通イメージを持つことが重要です。
文章だけでは共通イメージを持ちにくいですが、画像や写真を見ればペルソナを正確にイメージできるため、ズレが生じることを防ぎます。
ペルソナとなる人物だけではなく、ペルソナが住んでいる部屋のイメージなども、画像や写真で共有しましょう。
POINT 3定期的に見直す
ペルソナは一度設定したからといって、終わりではありません。設定後もペルソナと実際のユーザーにズレがないかどうかの、定期的な確認が必要です。
実際のユーザーの環境は、日々変化しています。設定時には販売されていなかった新商品や新サービスが登場したり、社会情勢が変わったりするため、古いペルソナと実際のユーザーとの間に、ズレが生じることが多々あります。
作りっぱなしのペルソナを参考にしていると、マーケティングが的外れになってしまい、成果につなげられなくなるでしょう。
ズレに気づくためには、データの収集を定期的に行ってユーザーの動向を把握し、設定済みのペルソナと比較します。ズレがあった場合は、実際のユーザーにあわせて、ペルソナの項目と要素を修正しましょう。
POINT 4必要なデータを厳選する
ペルソナを設定する際は、ペルソナとなる人物像を1人に絞る必要があります。
ペルソナのイメージをより具体的にしようとすると、情報量が膨大になってしまい、1人の人物像に詰め込むことが難しくなってしまうのです。
情報量が多すぎると逆にユーザー像がぼやけてしまうため、必要なデータに絞ってペルソナを作っていくようにしましょう。
POINT 5正確なデータを利用する
データの内容によってペルソナの人物像も変わってしまうため、データの量だけでなく、正確性も重要です。
正確なデータを参照するためには、「ユーザーの声」である一次情報からデータを集めましょう。SNSやブログ、インタビューやアンケートなどを活用するのがおすすめです。
そのほか、人口動態調査や総務省統計局が発表するデータなど、信ぴょう性が高いデータを選ぶようにしましょう。
ペルソナのよくある質問
なぜペルソナが必要なんですか?
ペルソナの設定によって、効率的かつ効果的なマーケティングを実施できるからです。
ペルソナが決まっていれば、どういったユーザーに商品・サービスを届けるのか、スタッフ間の認識を統一できます。本当に効果的なアイディアを導き出せるため、コミュニケーションや時間のロスが少なく済むのです。
また、ユーザーの代表ともいえるペルソナのニーズを満たすことで、結果的にそのほかのユーザーのニーズを満たすことにもつながります。
ペルソナの情報は商品・サービス開発に活かしたり、マーケティングに取り入れたりすることで、売上の向上にもつながるのです。
ペルソナ設定のコツはありますか?
とにかく市場を分析することです。お客様へのアンケートやインタビューなどで収集したデータを駆使しましょう。
アンケートは、メールやSNSを活用する以外にも、実店舗を訪れたユーザーに書面で行う方法もあります。実際に商品やサービスを購入したユーザーの、年齢や性別などの属性や、感想やニーズなどの情報を、ペルソナの設定に活かします。
また、インタビューでは、購入に至った要因や、趣味やライフスタイルなど、さらに踏み込んだ情報の収集が可能です。インタビューで得た情報をもとにペルソナを設定すれば、より具体的な人物像を作り上げられます。
ペルソナ設定後の分析はどのようにすればいいですか?
ペルソナを設定したら、GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどのアクセス解析ツールを使って、ユーザーの属性や流入キーワードを確認しましょう。
アクセス解析ツールを使えば、ユーザーの行動や趣味、特性に関するデータを収集できます。
ペルソナを設定する際には、思い込みや主観で人物像を決めることはNGです。
例えば、「若い女性はSNSが好き」「共働き世帯は金銭的に余裕がある」など、先入観でペルソナを設定すると、マーケティングの方向性を見誤ってしまいます。
実際にWebサイトを訪問したユーザーを分析して得た客観的なデータを、人物像と照らしあわせることで、ペルソナが正しく設定できているかどうかを確認できます。
まとめ
ペルソナとは、自社の商品やサービスを提供するユーザーの「架空の人物像」のことです。より詳細に人物像を設定する点が、ターゲットと異なります。
ペルソナの設定は、共通した人物像を作り上げる重要な作業です。
実際のデータをもとに、身近にいそうなリアルな人物像を作ることで、SEO対策などのWebマーケティングに関わるすべての人が、ユーザーをイメージしやすくなります。
また、ペルソナを設定する際には、ユーザーの生の声を集めましょう。
集めたデータをもとにユーザーのニーズを探ってみると、今まで想定していたものとは違うユーザー像を、新たに発見できるかもしれません。