
Webサイト上のユーザーの行動を可視化できるヒートマップツールは、Web初心者にとって簡単に分析できるツールの1つです。
ただ、ヒートマップツールにはたくさんの種類があり、「どのツールを導入すればいいのか迷う」という方も多いのではないでしょうか。費用をなるべくかけたくない方も多いはずです。
そこで、今回は選ぶ際のポイントと無料で使い始められるヒートマップツール5選をご紹介します。
この記事のレベル
重要度 | (4) |
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初心者度 | (4) |
難易度 | (2) |
この記事で学べること
- ヒートマップツールを選ぶ際のポイント
- 無料で使い始められるおすすめヒートマップツール5選
- ヒートマップ導入後の改善方法
ヒートマップとは?

ヒートマップとは、データの強弱を色の濃淡によって可視化したもので、一目でわかりやすいことが特徴です。
数値と色を比較した場合、色のほうが視覚的にわかりやすいため、瞬時に状況を判断できます。
日本地図を天気で色わけした気象庁の天気分布予報や、選手がプレイしたエリアを可視化したサッカーの行動分析など、ヒートマップは様々な分野で活用されています。
ヒートマップの強みは、詳細なデータを追わなくても、直感的に把握できることです。
Webサイトを運用する際には、Webページの分析のために、ヒートマップを活用します。
Webサイトを分析するツールは多くありますが、色で表現するヒートマップツールは、ある程度の専門的な知識が求められる他のツールと比較して、簡単にデータの把握が可能です。
ヒートマップを作成するには一般的に、プログラミングなどの知識が必要ですが、ヒートマップツールがあれば、簡単にヒートマップを作成できます。
Webサイトの分析が苦手な方でも使いやすいため、初心者の方にもおすすめです。
ヒートマップツールを用いて、Webページを訪問したユーザーが、どこを見たのか、どこをクリックしたかなど、ユーザーの詳細な行動を分析することによって、ユーザーが快適に閲覧でき、また訪問したいと感じてもらえる、Webサイトの作成につなげられます。

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ヒートマップを導入するメリットと足りない点
ヒートマップを導入すると、様々なメリットがあります。
導入する前に、メリットと足りない点を確認しておきましょう。
ヒートマップのメリット
ヒートマップには、ユーザーの詳細な行動が把握できるメリットがあります。
Webページでのユーザーの行動を把握できると、課題の仮説を立てられるため、改善につなげやすくなります。
熟読エリアが特定できる
ヒートマップでは一般的に、ユーザーがよく閲覧している箇所を赤、あまり閲覧していない箇所を青や灰色で色わけしているため、よく読まれている箇所を瞬時に判別可能です。
熟読エリアが特定できると、ユーザーが興味や関心を持った箇所がわかるため、構成を見直すことで、直帰率の改善などにつなげられます。
終了エリアが特定できる
ユーザーがWebページをどこまで表示したのかも、ヒートマップでは特定できます。
一般的に、青や灰色に近いほど閲覧者数が減っているため、多く減っている箇所は改善が必要です。
ユーザーが離脱した箇所からWebページを改善することによって、ユーザーの滞在時間の延長につなげられます。
クリックエリアが特定できる
クリックしたエリアが特定できると、ユーザーの興味や関心を判断できます。また、リンクのない画像やテキストなど、間違えてクリックした箇所も検出可能です。
マウスの動きを特定できる
ユーザーがWebページ上でマウスをどのように操作したかも、特定可能です。
ツールを用いると、マウスの動きを追ってヒートマップを作成します。
多くのユーザーが、興味や関心の強い文章を読む際に、文字をマウスで追う動作をするため、マウスの動きを把握することで、ユーザーの閲覧行動の傾向がわかります。
スマホの操作が特定できる
ユーザーがスマホ用サイトを閲覧する際の、スワイプやタッチなどの動きの可視化も可能です。
近頃では、スマホでWebサイトを閲覧するユーザーが急増しているため、パソコン用ページとスマホ用ページを比較して、どのように閲覧されているのかを分析できます。
ヒートマップのもの足りない点
1ページごとにしか分析できない
ヒートマップでは、1ページ単位でしかユーザーの行動を分析できません。
Webサイト全体のユーザーの行動は分析できないため、アクセス解析ツールの「Googleアナリティクス」など、他のツールと併用する必要があります。
ユーザーの心理は分析できない
ヒートマップではユーザーの行動は把握できますが、心理の分析はできません。
ユーザーが閲覧した箇所はわかっても、何がよくて何が悪かったのかの理由はわかりませんので、効果測定ができるアクセス解析やユーザーテストとの併用が必要です。

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ヒートマップツールを選ぶ際の機能・ポイント

ヒートマップツールには様々な種類があり、ツールによって機能はもちろん、価格も異なります。
ヒートマップツールを選ぶ際には、3つのポイントに注目しましょう。
POINT 1予算にあった価格のツールを選ぶ
ヒートマップツールは、予算にあわせて選ぶことが大切です。ツールには有料だけではなく、無料のツールもあります。
まずは、ヒートマップツールでどのような分析ができるのかを把握するために、無料のツールから始めることも、おすすめの方法です。
無料のツールでも、Webページのどこに問題があるかなどの情報を、簡単に調べられます。
より詳細に分析したい場合や、大規模なWebサイトを分析したい場合は、有料のツールが適していますので、ツールを活用したい目的と予算に合わせて選びましょう。
POINT 2サポート体制が充実しているツールを選ぶ
ヒートマップツールを選ぶ際は、導入後のサポート体制が充実しているかどうかも、重視したいポイントの1つです。
ツールの中には海外製のツールもあるため、日本語版の有無の確認も欠かせません。
また、初めて導入する際には、メールや電話でのサポートがあるツールを選んでおくと安心です。
POINT 3データの保持期間や解析可能なページ数を確認して選ぶ
ヒートマップツールの種類によって、データの保持期間や、解析可能なページ数が異なります
そのため、どれほどの期間データを保存したいのか、どれほどのページを分析したいのかにあわせて、ツールを選ぶことが欠かせません。
また、ツールの多くで有料版と無料版が用意されており、有料版は無料版と比較して、データの保存期間や分析可能なページが多くなっています。
おすすめの無料ヒートマップツールを徹底比較
まずはお試しでヒートマップを使いたい方におすすめの、無料で始められるヒートマップツール5選をご紹介します。
Clarity

出典:https://clarity.microsoft.com/
Microsoftが提供するClarityは、充実の機能が完全無料で使えると人気のヒートマップツールです。
無料版に加えて有料版が用意されているツールの多くが、分析できるページ数に制限が設けられていますが、Clarityは分析可能なページ数の制限がないことはもちろん、セッション数にも制限がないため、安心して使えます。
Clarityは、期間やブラウザの種類など、条件を設定してヒートマップを表示できることが特徴です。
レコーディング機能によって、マウスのカーソル位置やタップする動きなどを保存しているため、Webページを訪問したユーザーのリアルな行動が簡単に把握できます。
また、Clarityは「Googleアナリティクス」と連携できますので、2つのツールのデータを照らしあわせることによって、より高度な分析が可能です。
Clarityについて詳しく知りたい方はこちらをチェック!

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User Heat

出典:https://userheat.com/
無料ヒートマップ解析ツールの「User Heat」は、月間300,000PVまで無料で使用できます。
300,000PVを超えた場合は計測が止まるため、自動で課金される心配はありません。
ヒートマップ機能は、熟読エリアや終了エリア、クリックエリアやマウスムーブなど5種類あり、パソコンだけではなく、スマホやタブレットにも対応可能です。
User Heatの機能で満足できなかった場合は、より高度な分析ができる有償版の「User Insight」も用意されていますので、目的や用途にあわせて活用しましょう。
Ptengine

出典:https://www.ptengine.jp/
「Ptengine 」は、2013年にグッドデザイン賞を受賞したヒートマップツールです。
他のツールよりも導入数が多く、世界中で20万を超えるユーザーに導入されています。
3,000PVまで使える無料プランに加えて有料版が用意されており、有料版は比較的安価な料金設定が特徴です。
パソコンやタブレット、スマホに対応しており、リアルタイムで解析できます。
メールマガジンや広告からの流入を計測して効果測定を行ったり、HTMLソースの編集なしで計測できるイベントトラッキングの機能があったりと、ヒートマップからアクセス解析まで網羅しているツールです。
ミエルカヒートマップ

出典:https://mieru-ca.com/heatmap/
「ミエルカヒートマップ」は、SEO管理分析ツール「ミエルカ」の姉妹ツールで、3,000PVまでの無料プラン以外にも、複数のプランが用意されています。
アテンションヒートマップやスクロールヒートマップ、クリックヒートマップの3つのヒートマップ機能に加えて、SEO解析機能やアクセス解析機能も利用可能です。
また、3つのヒートマップを1画面にまとめて表示できるため、データの誤解釈を防いだり、改善ポイントを見つけ出しやすくなったりしています。
無料トライアルでは様々なオプションサービスも利用できるため、必要な機能を見極めたうえで、最適な有料プランを選べます。
QA Analytics

出典:https://ja.wordpress.org/plugins/qa-heatmap-analytics/
WordPressでWebサイトを作成している方なら誰でも利用できるのが、月間100,000PVまで無料で使える「QA Analytics」です。
タグの設置やアカウント登録などの面倒な作業が不要で、WordPress公式プラグインを検索して有効化するだけで、すぐに使えます。
ヒートマップには、アテンションマップやスクロールマップ、クリックヒートマップやクリックカウントマップがあり、Webページを訪問したユーザーの行動やイベントの確認が可能です。
無料版以外にも、データを絞り込むフィルター・検索機能などを備えた有料版もありますので、必要なタイミングで新たな機能を手軽に追加できます。
ヒートマップ導入後の改善・分析方法

ヒートマップでユーザーの行動を可視化しただけでは、意味がありません。
分析したデータをもとにユーザーの心理や潜在的なニーズを知り、Webサイトを改善することが重要です。
ヒートマップ導入後の改善方法を、4つご紹介します。
閲覧されない箇所の修正や変更
「閲覧して欲しい箇所にたどり着く前にユーザーが離脱している」「ユーザーに閲覧して欲しい箇所なのに熟読率が低い」場合は、閲覧されない箇所の修正や変更が必要です。
具体的には、読み飛ばされている文章を、視覚的にわかりやすい箇条書きや画像に変更したり、閲覧して欲しい箇所をWebページの上部に移動したりします。
ボタンの配置やデザインの変更
「リンクを貼っていないテキストや画像が頻繁にクリックされている」「リンクを貼っているテキストやボタンがクリックされていない」場合は、ボタンの配置やデザインの変更が必要です。
デザインや配置がユーザーに誤解を与えていたり、ボタンがクリックしにくいデザインになっていたりする可能性がありますので、配置やデザインを修正してみましょう。
想定外に読まれている箇所の修正や変更
想定外に読まれているのは、「ユーザーが本当に知りたい内容であった」以外にも、「インパクトのある内容で思わず読んでみた」が原因に挙げられます。
想定外に読まれている箇所からは、Webサイトの制作者は気付いていなかった、ユーザーのニーズの発見につなげられます。
ただし、内容が理解しにくかったため、何度も読み返しているとも考えられますので、注意が必要です。
ユーザーのニーズに応えたり、読みにくさを改善したりするための、修正や変更が必要です。
ユーザーの多くが離脱している箇所の修正や変更
ユーザーの多くが離脱しているのは、「ユーザーが内容に興味を失った」「Webページ内の画像が不親切だった」などが、原因として考えられます。
具体的には、ユーザーが読み進めても求める情報が手に入らないと感じた場合や、画像の読み込み速度が遅い場合などです。
ユーザーの離脱を防ぐためには、目次を付けて内容をわかりやすくしたり、画像を削除して表示速度を上げたりするなどの、改善が必要です。
ヒートマップツールの活用方法はしっかり把握しておこう
ヒートマップは、Webサイト上のユーザーの行動を可視化できるツールです。
ユーザーに熟読されている箇所や頻繁にクリックされている箇所と、あまり読まれていない箇所や離脱するユーザーが多い箇所などが把握できると、Webページを効率的に改善できます。
また、数値を色でわけて表現してくれるヒートマップは、数値と比較して直感的に理解できることが特徴です。
Webサイトの分析に不慣れな初心者の方でも、簡単にデータを把握できますので、ぜひヒートマップツールを導入して、Webサイトの改善に役立てましょう。