
「SEOは知ってるけど、SEMは詳しく知らない」方もいらっしゃるのではないでしょうか。

SEOとSEMにはどんな違いがあるんですか?

簡単にいうと、SEOはSEMの種類の1つなんだ。
検索エンジンを活用したマーケティングを効率的に行うためには、SEMの種類を知り、それぞれ上手く使い分けていくことが大切です。
こちらでは、SEMの定義や種類、SEOとリスティング広告の違いなどをわかりやすく解説します。
この記事のレベル
重要度 | (5) |
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難易度 | (3) |
この記事で学べること
- SEMとSEOの違い
- SEOとリスティング広告の違い
- SEOとリスティング広告のメリット・デメリット
- SEOとリスティング広告を使い分けるポイント
- SEMの実施ステップ
SEMとは?SEOとの違い
SEMとSEOは似た言葉なので「両者の区別がついていない」「違いが詳しくわからない」方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、SEMとSEOの違いや、それぞれの種類について解説します。

SEMとSEOの違い
SEMは「Search Engine Marketing」の略で、検索エンジンのユーザーを対象に行うマーケティング全般を指します。
それに対してSEOは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化を意味します。
簡単にいうと、SEOはSEMの一部です。
SEMは検索エンジンからWebサイトへの流入を増やすために行うマーケティング全般を指すため、SEOはSEMの施策の1つといえるのです。
SEMの種類
先ほども説明しましたが、SEMは検索エンジンを使ったマーケティング全般を指します。
現代では多くの人がパソコンやスマートフォンを持っており、日常的に検索エンジンを活用しています。そのため、検索エンジンを活用したマーケティングであるSEMは、Webからの集客や売上のために欠かせないのです。
SEMの施策の代表的な種類として、「SEO」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」が挙げられます。
SEO
SEOは「検索エンジン最適化」を意味し、検索エンジンの検索結果ページの上位に、自社サイトが表示されるよう工夫する施策です。
Webサイトが検索結果の上位に表示されることで、ユーザーの目につきやすくなり、アクセス数の増加が見込めます。アクセス数を増やせば商品やサービスの売上にもつながるため、そこがSEOの利点といえます。
リスティング広告
検索結果ページの上部に表示されるテキスト形式の広告が「リスティング広告」です。
「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索したワードと関連性の高い広告が表示される点が特徴です。
通常の検索結果のサイトよりも上部に表示されるため、ユーザーの目に留まりやすく、興味・関心を持つユーザーにピンポイントでアプローチできます。
ディスプレイ広告
検索エンジンのトップ画面など、Webサイトの広告枠に表示される広告です。画像だけでなくテキストや動画の広告も存在します。
ユーザーの属性や過去の検索履歴などをもとに広告を表示させる仕組みですので、よりターゲットを絞ってアプローチできます。
SEOの種類
SEMを構成する1つであるSEOの種類についても、さらに詳しく知っておきましょう。
内部対策
内部対策とは、その名のとおりサイト内部の構造を工夫する対策を指します。
サイト構造の最適化、HTMLタグの設定、画像の最適化などが該当します。ユーザーが見やすいサイトを作るだけでなく、検索エンジンに対してもわかりやすいサイトを作るイメージです。
外部対策
外部対策とは、主に被リンクのことを指します。他のサイトに貼られた自社サイトのリンクを被リンクといい、検索エンジンから評価される項目の1つになっています。
被リンクが多いと、他のサイトから参考にされる信頼度の高い情報を提供しているサイトだと認識されるのです。
ただし、人為的に被リンクを増やす行為は禁止されているため、ユーザーニーズを理解し、より魅力的なコンテンツを作ることが外部対策になります。
コンテンツ作成
検索エンジンは、コンテンツの内容をもとに検索結果を反映します。
コンテンツの内容と検索ワードがマッチしなければ、検索エンジンからの評価を得られません。そのため、コンテンツの内容を充実させることも、SEOにおいて欠かせない要素なのです。

SEOはSEMの一部なんですね!

それぞれ違うものだけど、どちらも検索エンジンを活用したマーケティングなんだ。

SEOとリスティング広告はどちらもSEMの施策ですが、何が違うんですか?

じゃあ次はそれぞれの違いを学んでいこう。
SEOとリスティング広告の違い
SEOとリスティング広告はどちらもSEMの施策ですが、シーンによって使い分けられています。
こちらでは、SEOとリスティング広告の違いについて解説します。
項目 | SEO | リスティング広告 |
---|---|---|
費用 | 〇 | △ |
クリック率 | 〇 | △ |
即効性 | × | ◎ |
コントロール性 | × | ◎ |
継続性 | 〇 | × |
ブランディング効果 | ◎ | × |
費用
リスティング広告は、1クリックごとに支払いが発生するCPC(Cost Per Click)広告です。必ず広告サービスを利用することになるため、どうしてもコストがかかってしまいます。
それに対してSEOは、検索結果に表示されるだけなので、掲載自体に費用はかかりません。
上位掲載のためSEO会社に依頼すると費用が発生しますが、どのくらいの費用がかかるかはWebサイトの現状によって異なります。
SEOは知識があれば自分で取り組むことも可能なので、費用の面でリスティング広告とは差があるといえます。
クリック率
SEOとリスティング広告は、表示される場所が異なります。SEOで上位表示を目指すのは自然検索の枠で、リスティング広告はその上の広告枠に表示されることが特徴です。
どちらも上位表示されるほどクリックされやすくなりますが、広告を避けるユーザーも多いため、自然検索枠で上位になるほどクリック率が高くなる傾向にあります。
即効性
リスティング広告は、入稿して広告の配信が開始されれば、すぐにユーザーへアプローチできます。どのくらいクリックされたか、コンバージョンがあったか、費用はいくらかかったのかなど、結果をすぐに確認できる点が特徴です。
一方SEOは、すぐに結果が出るものではありません。検索エンジンのアルゴリズムによって順位が決まるため、検索エンジンからの評価を得るために時間がかかってしまうのです。
SEOは長期的に様々な施策を行って上位表示を目指していくものなので、即効性は低いといえます。
コントロール性
リスティング広告は、どのくらい費用をかけるか、どのキーワードで配信するかによって、ある程度順位をコントロールできます。
単純に課金額を増やせばより上位に広告を表示できるため、コントロール性に優れているといえます。
それに対してSEOは、必ず上位に表示できるわけではありません。検索エンジンのアルゴリズムによって順位が変わるため、検索順位が上がりそうな施策を繰り返していくしかないのです。
リアルタイムで集客できるわけではないため、コントロール性に優れているとはいえません。
継続性
リスティング広告は、開始・停止を簡単に切り替えることができます。
予算がなくなった、サービスに不具合があった場合などは、すぐに広告の停止が可能です。しかし、広告を停止してしまえば、ユーザーの流入は止まってしまいます。
一方SEOは、開始・停止の概念がありません。検索結果の上位に表示されている場合は、ユーザーの流入を維持できます。
SEO対策を継続的に行って上位表示を維持できれば、その分集客も期待できるため、継続性の高い施策といえるのです。
ブランディング効果
検索しているユーザーは、そのキーワードに関して興味・関心が強いといえます。
SEO対策を行って自社の商品やサービスに関するキーワードで上位表示できれば、そういったユーザーに自社のことを知ってもらえるのです。また、SEO対策のためにWebサイトの内容を充実させれば、信頼度の高いWebサイトを手に入れることができます。
一方リスティング広告の場合、ブランディングにつながるキーワードは競合が多くなってしまうため、上位表示させるためにはコストがかかってしまいます。
ユーザーによっては広告を避ける可能性もあるため、ブランディング効果は低いといえるのです。
SEOとリスティング広告のメリット・デメリット

同じSEMの施策ですが、SEOとリスティング広告では様々な違いがあります。
SEOとリスティング広告ではメリット・デメリットも異なるため、事前に把握しておきましょう。
SEOのメリット
コストを抑えられる
リスティング広告は毎月広告費がかかってしまいますが、SEOの場合は特に決まった費用はありません。また、自社でSEOに従事できる人材がいる場合は、外注の費用もかかりません。
しかし、SEO会社に外注したり、専門的な知識を持ったスタッフを雇ったりする場合は費用がかかるため注意が必要です。
中長期的な効果がある
リスティング広告は配信を止めてしまえばそこで終わりです。しかし、SEOは自社のサイトに行う対策なので、上位表示を維持できれば継続的にユーザーを獲得できます。
Webサイトそのものが資産になる
SEOで評価されるサイトは、ユーザーにとって使いやすいサイトであるといえます。
運用しているうちにコンテンツも充実してくるため、サイトへの入り口が徐々に増えていきます。
検索エンジンに評価され、ユーザーの流入が見込めるWebサイトは、会社にとって重要な資産の1つになるのです。
SEOのデメリット
即効性がない
これまでもご紹介したように、SEOはすぐに効果が表れるものではありません。様々な施策を行って、徐々に効果を発揮します。
すぐにアクセス数を増やしたい、売上を伸ばしたいといった場合には不向きの施策といえます。
専門的な知識が必要
SEO対策を自社で行う場合、専門的な知識が必要になってきます。
ただコンテンツを増やすだけでは、SEO対策として意味がありません。自社サイトを徹底的に分析し、足りない要素を補い、効果的な施策を探していく必要があります。
そのためには知識やノウハウが必要になるため、未経験者しかいない状態で取り組むのは難しいといえます。
アルゴリズムの影響がある
検索結果の順位を決める要素である検索アルゴリズムは、不定期でアップデートされます。
「上位表示を維持できていたのに、突然順位が下がってしまった」といった状況になる可能性もゼロではありません。
新しいアップデートがあった場合は、影響がないかチェックして、対策を講じる必要があります。
リスティング広告のメリット
即効性がある
設定するキーワードにもよりますが、リスティング広告は入稿したその日から広告を出すことも可能です。
SEOは上位に上がってくるまで時間がかかるため、即効性でいうとリスティング広告が優れているのです。
より細かくターゲットを絞れる
リスティング広告は、広告を表示するユーザーを細かく指定できます。性別や年齢、地域、アクセス履歴などで表示先を絞ることができるため、よりピンポイントにターゲットを狙うことが可能です。
効果検証が容易
リスティング広告は、クリック率やコンバージョン率など、様々なデータを見ることができます。データをもとに効果検証がしやすいため、次につなげやすい施策といえます。
リスティング広告のデメリット
コストが高い
リスティング広告を配信するためには、どうしてもコストがかかってしまいます。
代理店などに依頼せず自社で対応する場合は、スタッフの確保にも手間とコストがかかるため、その点には注意が必要です。
広告を避けられてしまう可能性も
リスティング広告は避けて、自然検索の結果からアクセスするユーザーもいます。
特にインターネットを使い慣れた層はその傾向があるため、注意が必要です。

SEOやリスティング広告を始めようと思ったら、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことが大切だよ。

では、SEOとリスティング広告は、どちらを優先して実施したらいいんですか?

どちらかを優先するのではなく、状況に応じて使い分けることが大切なんだ!
次はSEOとリスティング広告の使い分けについて解説するよ。
SEOとリスティング広告は使い分けが重要
SEOとリスティング広告は、違いを把握して使い分けることが重要です。
こちらでは、SEOとリスティング広告の使い分けと、活用例を解説します。
SEOとリスティング広告の使い分け
SEOとリスティング広告を活用して結果を出すためには、ケースに応じて柔軟に使い分けるようにしましょう。
短期間で成果を出したい場合はリスティング広告
できるだけ早く結果につなげたい、短期間で集客したい場合には、リスティング広告がおすすめです。
リスティング広告はすぐに広告を表示でき、ターゲットを細かく絞ることができるため、即効性が高いといえます。リアルタイムで効果測定できるため、スピード感を持ってPDCAを回していくことができます。
短期間で成果を出したいケースであれば、リスティング広告を検討しましょう。
中長期的に成果を出したい場合はSEO
SEOは、リスティング広告に比べて結果が出るまで時間がかかります。しかし、適切な施策を行って地道にコンテンツを充実させていけば、上位表示につながります。
安定して上位表示されるようになれば大きく順位が下がることは少ないため、中長期的な成果を出すことができるのです。
時間がかかってもブランディングを強化したい、上位表示を安定させたい場合には、SEOに注力しましょう。
コンテンツの量が少ない場合はリスティング広告
コンテンツの量が少ない、今後も追加できるコンテンツの量が限られるといった場合は、リスティング広告がおすすめです。
コンテンツの量が少ないと、どうしても検索エンジンから評価を得ることが難しくなってしまうため、SEO対策を実施しても成果につながりにくいのです。
リスティング広告であればサイト内のコンテンツ量は関係ないため、コンテンツ量による使い分けも意識しましょう。
使い分けの活用例
SEOとリスティング広告の使い分けについて解説しましたが、可能であれば併用するのがおすすめです。
SEOの弱点をリスティング広告で補う
SEOは、上位表示させるまで時間がかかる点がデメリットです。そのため、上位表示されるまでの期間にリスティング広告を出すのも1つの方法です。
「新しいサイトをオープンしたばかりでまだ検索エンジンに認識されていない」「上位表示させたいキーワードでまだ表示されない」など、上位表示されるまでの間にリスティング広告を出しましょう。
そうすることで、検索からの流入を安定して確保することにつながります。
SEOとリスティング広告でアプローチを変える
SEOは、必ず狙ったキーワードで上位表示できるわけではありません。また、上位表示させるためにはユーザーニーズに沿ったコンテンツが必須なので、会社として伝えたい内容だけを記載することもできません。
そのほか、SEOだと想定と違うページが表示されてしまうこともあります。
そのため、SEOで上位表示を狙いつつ、自然検索とは異なるページに飛ぶリスティング広告を出しておけば、異なるアプローチを同時に行うことが可能です。

SEOとリスティング広告を同時に行ってもいいんですね!

もちろんだよ!Webサイトの状況や目的なども考えて、成果につながる施策を臨機応変に行っていくことが大切なんだ。
SEMを実施する流れ
SEOでもリスティング広告でも、SEMの施策を実施する際は以下の流れが基本になります。
FLOW 1予算を決める
SEMの施策にどの程度予算を割けるか、事前に決めておきましょう。
リスティング広告は、入札単価を上げれば上位表示できる可能性が高くなります。しかし、その分コストがかかってしまいます。そのため、事前に予算を決めて、計画的に施策を進めることが大切です。
SEOは長期的な施策が必要になるため、その点も考慮して予算を決定するようにしましょう。
FLOW 2目的や計画を決める
予算が決まったら、施策を行う目的や計画を明確にしていきます。
「どのくらいの期間で結果を出したいのか」「どのような成果につなげるのか」を考えていきましょう。
短期戦略なのか、中長期戦略なのかによっても、選ぶべき施策が変わってきます。どの施策を行うかの決め手にもなるため、目的や今後の計画は明確に定めておきましょう。
FLOW 3ターゲットやニーズを明確にする
「どのようなユーザーにアプローチするか」「ユーザーの悩みは何なのか」「自社でどういった解決策を提示できるのか」を考えていきましょう。
ターゲットが変われば必要な施策も異なってくるため、できるだけ明確にしておくことが大切です。
FLOW 4コンテンツを作成・公開する
事前準備が整ったら、コンテンツの作成・公開に進みます。
自社のサービス・商品をアピールするだけでなく、ユーザーニーズに沿ったコンテンツを作ることが大切です。
上位表示を狙えるキーワードを選定して構成案を作り、コンテンツを仕上げていきましょう。
SEO対策としてコンテンツを増やしていく間に、リスティング広告でサイトへの流入を促すのも1つの方法です。
FLOW 5分析・改善する
コンテンツを公開してある程度の期間経過したら、Googleアナリティクスなどツールを活用して分析を行いましょう。
検索順位・訪問数・コンバージョン数・離脱率といった数値を確認し、改善点を探していきます。
分析が終わったら、その結果をもとに改善策を実施します。
よくある質問
SEMとは?
「Search Engine Marketing」の略で、検索エンジンを活用したマーケティング全般を指します。
SEMの種類には、SEO・リスティング広告・ディスプレイ広告などがあります。
SEOとリスティング広告どちらに注力したほうがいい?
どちらかではなく、状況や目的によって使い分けることが大切です。
例えば、SEO対策を行いつつも、上位表示されるまでの期間はリスティング広告を出すなど、それぞれのメリット・デメリットを考慮して使い分けていきましょう。
SEMはどんなケースに向いている?
以下の考え方が一般的です。
- SEO:中長期的にWeb集客を安定させたい場合
- リスティング広告:できるだけ早く成果を出したい場合
まとめ
SEMは検索エンジンを活用したマーケティング全般を指しており、SEMの中にSEOやリスティング広告が含まれます。
インターネットが普及した現代では、多くの方が検索エンジンを活用しています。そのため、Web上で集客を行う企業にとって、検索エンジンマーケティングは必要不可欠なのです。
SEMの施策で効率的に成果につなげるためには、SEOやリスティング広告などそれぞれの特徴を把握し、適切に実施する必要があります。
どれか1つの施策に偏るのではなく、短期で成果を出したいときはリスティング広告、安定したWeb集客を目指すならSEOなど、うまく併用していくことがおすすめです。