
ライティングにおいて、著作権の知識は必要不可欠です。
ただ「法律に関連する文章なので言葉が難しく、きちんと理解できているか心配…」という方もいらっしゃるはずです。
今回は、ライターが知っておくべき著作権の基礎知識、ライティングで気をつけたい3つのポイントを解説していきます。
また、罰則や事例についても紹介しますので、信頼性の高い記事を作成するために、ぜひ活用してください!
著作権ってどんな権利?

著作権とは
端的にいうと「著作物の作者が持つ権利」のことを指し、それを守るための法律を”著作権法”といいます。
著作権法(定義)
- (1)「思想又は感情」を表現したものであること
- → 単なるデータが除かれます。
- (2)思想又は感情を「表現したもの」であること
- → アイデア等が除かれます。
- (3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
- → 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
- (4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
- → 工業製品等が除かれます。
引用元:文化庁:著作物について
WEBライティングで考えると、ライターが作成した記事やWEBページが著作物ということになります。
また「著作物」は、大きく9つに分かれています。
- 言語:小説や論文など、言葉で表現されたもの
- 写真:人物や風景の写真
- 美術:絵画・漫画など、色や形で表現されたもの
- 音楽:歌詞・楽曲
- 映画:劇場用映画・ドラマなどの動画
- 踊り:ダンスや舞・パントマイムなどの無言劇
- 建築:宮殿など、建築芸術と呼ばれるもの
- 地図/図形:地図など図形で表現されたもの
- プログラム:コンピュータプログラム
ここでは、著作物のイメージがしやすいように一例を紹介しましたが、世の中はまだまだたくさんの著作物であふれています。
そのため、「著作物は小説と写真と…」などで覚えるのではなく、「人によって作られたものには著作権がある」と考えるほうが著作物をより理解しやすいかもしれません。
著作権には2種類ある
著作物の作者が持つ権利である著作権は、大別すると以下の2つです。
- 著作物の作者の人格的権利を守る → 著作者人格権
- 作者の著作物の財産的権利を守る → 著作権(財産権)
さらに、著作者人格権の中には3、著作権(財産権)は11の権利があります。
文化庁の「著作者の権利の内容について」というページの内容をわかりやすく表にまとめましたので、ご覧ください。
また、11ある著作権(財産権)のうち、WEBライティングに関すると思われる権利4つを抜粋してご紹介します。
著作者人格権 | 著作権(財産権) | |
---|---|---|
権利の内容 |
|
|
他人へ権利の譲渡 | できない | できる |
ポートフォリオの公開
ポートフォリオ(Portfolio)とは、日本語で「書類入れ」という意味です。
業界によって指すものが異なり、それぞれ違う意味で使われます。 ライターにとってのポートフォリオとは、これまでのライティング実績をアピールするための作品集です。
このポートフォリオを公開する際に、「著作権」と「機密保持義務」が関わってきます。本来、記事の著作権はライティングをしたライターにあります。
例えば、企業や個人(=クライアント)から依頼を受けて記事作成をする場合、クライアントとの契約次第では記事の納品時に著作権も一緒に譲渡されることがあります。
また、A社から依頼を受けて書いた記事をA社の名前で公開する場合、著作権自体もA社に渡り、さらにA社との間に機密保持義務が発生します。
そのため、ライター自身のポートフォリオでその記事を公開したい場合はA社に許可を取る必要があります。
著作権を意識したライティングのテクニック
WEBライティングで、気をつけたいことは「文章」「画像・写真」の著作権です。
これまででお伝えした基礎知識を踏まえて、WEBライティングのテクニックをご紹介します。
引用
参考にする文章の一部を自分の文章にそのままコピーアンドペースト(以下コピペ)することは、著作権の侵害にあたります。
ただし、引用というテクニックを正しく取り入れることで、著作権の侵害を回避できます。
引用とは、正当な範囲内で自分の文章に他者の文章をそのまま取り入れることを指します。引用する場合は、以下のことに注意をしましょう。
引用における注意事項
- 他人の著作物を引用する必然性があること。
- かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
- 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
- 出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)
引用元:文化庁:著作物が自由に使える場合
引用と似たもので「参考」と「転載」があります。それぞれ簡単にご紹介します。
参考
参考とは、他の文章を「手がかり」にしてライティングすることです。
その場合、参考にする文章をそのままコピペするのではなく、「自分の言葉に要約」して使用する必要があります。
転載
転載とは、他の文章を「複製」して別の媒体にそのまま掲載することです。
通常、転載には著作者の許可が必要になります。ただし、国や地方、公共団体が作成した資料は、許可無しでも転載が可能です。
引用(第32条)
[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。引用元 文化庁:著作物が自由に使える場合
このように、「引用・参考・転載のテクニック」を使って、ライティングに挑戦してください。また、ライティング後にコピペ率を確認して、より信頼性の高い記事を目指しましょう!
無料で利用できるサイトとしては
などがあります。

画像・写真
ライティングは文章を書くだけではなく、ライターがアイキャッチ画像や記事内で使用する画像を用意する場合もあります。
インターネット上の画像や写真をダウンロードして使おうかな…と考えるときに、忘れてはいけないのが「人によって作られたものには著作権がある」ということです。
画像や写真を探す際は、「商用利用可能な画像・写真サイト」を利用することで、著作権を侵害する可能性を下げることができます。
ただし、「商用利用可能な画像・写真サイト」を利用しても著作権侵害として該当したケースもあるようなので、使用したい写真がある場合はそのサイトの「利用規約」をしっかり確認することも忘れてはいけません。
著作権を侵害した場合のリスク

具体的にどのような罰則があるのか?
著作権を侵害した場合は以下のような罰則があります。
権利 | 罰則 |
---|---|
| 10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金 |
| 5年以下の懲役又は500万円以下の罰金 |
引用元:CRIC公益社団法人著作権情報センター:著作物を無断で使うと?
また、法人が著作権(著作人格権を除く)を侵害した場合は3億円以下の罰金、さらに、著作権侵害をした個人に対しても刑罰が科せられることになります。
自分が作成した記事が著作権侵害に該当する場合、ライターとして所属している会社にも大きな影響を与えてしまうことになりかねません。
改めて、著作権の基礎知識を持つことが重要であることがわかります。
事例
ここで、実際にあった著作権侵害の事例を3件ご紹介します。
- 事例1
- A社:依頼主/B社:制作側
- 判決:B社はA社に対して約20万円の罰金
- 内容:A社の写真をB社が無断で使用・B社社員は写真を著作権フリーサイトから入手したと証言。しかし、フリーサイトから入手したとはいえ、写真が誰の著作物かわからない場合は他人の著作物を侵害する可能性があると裁判所は判断。
裁判例結果詳細:裁判所
- 事例2
- A社:商品販売会社/B社:出版関連会社
- 判決:A社はB社に対して40万円の罰金
- 内容:A社が自社製品に関する記事を社内電子版に約3ヶ月間掲載。記事掲載先の出版関連会社から許可を取っておらず、「複製権・公衆送信権」侵害だと裁判所は判断。
- 事例3
- A社:商品販売会社/B社:有料データベース提供会社
- 結果:データベース利用契約の解除
- 内容:A社は自社商品が紹介されている新聞記事の見出し・本文を有料データベースからコピーして自社サイトに掲載。データベース契約更新時に、B社が指摘して発覚。B社の利用規約では「複製・蓄積」は禁止。規約違反によりデータベース利用契約解除。
著作権など法律関連の基礎知識が学べるサイト3選

「重要なのはわかったけど、もう少し著作権の情報が欲しい…」という方もいるのではないでしょうか。 著作権は法律に関わっていることもあり、すぐに理解することは難しいです。
さらに、著作権を含む法律は改定されることもありますので、覚えるだけでなく、最新情報の確認も定期的に行ってください。
毎日の空き時間や記事を作成する前に、パッと目を通していただけるサイトとして、「ライティング 著作権」のキーワードで検索した結果(2021年7月27日現在)の3件を紹介します。
著作権の基礎知識とテクニックを持つライターになろう!
ライティングをする上で、著作権がどれだけ重要なのかをご理解いただけたと思います。
基礎知識や基本テクニック、情報を集めるなどで著作権を意識したライティングのスキルを伸ばしていきましょう!
今後もライティングのスキルを伸ばすために役立つ情報をお届けしますので、ぜひご覧ください!