
Web担当者になったばかりの方の中には、コンテンツマーケティングでお悩みの方も多いのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングって何かわかる?

なんとなくは理解しているんですが、説明するとなると難しいです…
「コンテンツマーケティングとは何か?」「コンテンツマーケティングの手順とは?」といった悩みは少なくありません。
そこでこの記事では、コンテンツマーケティングの目的や役割、メリット・デメリットなどについて解説します。
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この記事で学べること
- コンテンツマーケティングの概要
- コンテンツマーケティングの重要性
- コンテンツマーケティングの成功事例
- コンテンツマーケティングを行う手順
- コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、コンテンツをとおしてユーザーにとって価値のある情報を発信し、ユーザーとのコミュニケーションを図りながらブランドの認知度を高め、集客・売上につなげる一連のマーケティング手法を指します。
今すぐに顧客化を狙うわけではなく、
- サイトへの誘導
- 見込み客の獲得
- 見込み客へのアプローチ
- 商品購入またはサービス成約(顧客化)
といったプロセスを実践していくことが特徴です。
コンテンツマーケティングの目的
従来の広告は、明示的に商品やサービスを宣伝することが目的でした。しかし、コンテンツマーケティングはユーザーに興味を持ってもらい、自発的にアクションを起こしてもらうことを目的としています。
近年ではメディア上の広告を嫌うユーザーも増えているため、従来の広告手法とは違った、より効果的なアプローチが求められています。
そのため、企業がユーザーに役立つ情報やエンターテイメントを提供し、ユーザーの興味、信頼を得て利益につなげていくことを目的とするコンテンツマーケティングが注目されているのです。
コンテンツマーケティングの仕組み
従来の広告は、商品やサービスの魅力をテキストや画像を駆使して表現し、様々な手法でユーザーへ表示させます。企業が伝えたいことを直接ユーザーに伝える、一方的なスタイルであることが特徴です。
それに対してコンテンツマーケティングは、ブログやホームページ、SNSといった媒体を通じて、企業が伝えたいことだけでなく、ユーザーが知りたいことも考慮したうえで適切なコンテンツを提供します。
自社が取り扱う商品やサービスに関連するコンテンツを公開し、それに興味・関心を持っているユーザーが自らアプローチするように働きかけるのです。
「企業が伝えたい情報」と「ユーザーが知りたい情報」をコンテンツとして表示することでユーザーからの信頼度が増し、購入につながる。これがコンテンツマーケティングの基本的な構造といえます。
コンテンツの種類
コンテンツマーケティングの主な手法として、以下が挙げられます。
ストックメディア
ストックメディアとは、企業が独自に運営するブログやホームページ、YouTubeなどを指しています。
ストック型メディアともいわれ、情報をストック(蓄積)できること、主に検索エンジンを経由してアクセスを継続的に集められることが特徴です。
信頼性の向上やリピート率の向上、ブランディングの強化といったメリットがあり、新規顧客の獲得にも貢献します。
また、コンテンツが増えることで検索エンジンからも評価されやすくなるため、SEOの観点でも効果がある手法です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、もともと政府や公的機関が発行する「白書」を意味します。例として、内閣府の「国民生活白書」や、環境省の「環境白書」などが挙げられます。
マーケティングの分野では、企業や組織が自社の商品やサービス、あるいはビジネス上の問題点などについて、詳細な解説や提言をまとめた資料全般がホワイトペーパーに該当します。
営業ツールとして活用することで、企業の信頼性向上につながるほか、リード獲得の促進やノウハウの共有などにも役立つ手法です。
メールマガジン
メールマガジンは、メールを使って定期的に情報提供を行うサービスです。
主にニュース、キャンペーン情報、新商品情報、業界の最新情報やトレンドなどを配信することが一般的です。
受信許可を得れば自由に配信できるため、ターゲットに対してピンポイントで情報を素早く提供できます。定期的な配信を行うことで、ファン化の促進にもつながります。
メールマガジンを採用する際は、顧客が不快にならない配信内容や頻度を検討するほか、「特定電子メール法」に則った運用が求められます。
参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法) | 消費者庁
動画コンテンツ
動画コンテンツは、文字や画像よりも情報が伝わりやすいため、注目されている手法の1つです。
視覚的な情報伝達ができ、BGMを含めると聴覚からもアピールできます。消費者の興味を引きやすく、シェアや拡散機会の増大、ブランドイメージの向上も見込めます。
また、YouTubeなど動画配信サービスであれば、コメント欄を活用してユーザーとコミュニケーションを取ることも可能です。
動画コンテンツは、紹介動画・実演動画・インタビュー動画・イベント動画・オリジナルコンテンツなど、商品やサービスの特性に合わせた企画と構成が重要です。
お客様の声掲載
お客様の声掲載は、主に顧客からのフィードバックやレビューを記載したコンテンツを指します。
顧客から寄せられた意見や投稿コメントを、ホームページやSNS上で公開することで、実際のリアルな使用感・満足度などを伝えることができます。
信頼性を向上させられるだけでなく、改善のためのフィードバックを取得できたり、購買意欲の向上につながったりと様々なメリットがあります。
ただし、不適切なコメントや不正確な情報が寄せられることもあるため、厳正なコメント管理が必要です。
コンテンツSEOとの違い

「コンテンツSEO」もよく聞く言葉ですが、コンテンツマーケティングと同じ意味ですか?

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングは、混同されることも多いけど異なる意味があるんだ。
まず、コンテンツマーケティングは、前述したようなコンテンツを駆使して、ターゲットに向けて価値のある情報をネット上で公開・配信し「共有」「認知拡大」「拡散」を意識して運用します。
一方のコンテンツSEOは、コンテンツマーケティングで主流となっているストックメディア、いわゆるブログやホームページ、YouTubeなどが検索エンジンで上位表示されるように対策することを指します。
コンテンツSEOなしでストックメディアのアクセスを集めることは、かなり困難であるといえます。キーワード設定、タイトルや見出しの最適化、リンク構造など、検索エンジンのアルゴリズムに沿った対策が求められるからです。
コンテンツSEOは「商品に関する知識がないユーザー」「どの商品にしようか悩んでいるユーザー」「どの商品が安いか比較しているユーザー」など、様々な段階のユーザーにアプローチできます。
それに対してコンテンツマーケティングは、「商品に関する知識がないユーザー」に対して様々なコンテンツを用意して、購入にいたるまで育てる役割があります。

なるほど…そういう違いがあるんですね!

表面的には似ているけど、コンテンツマーケティングの中にコンテンツSEOという戦術が存在するイメージがわかりやすいよ!
なぜ今コンテンツマーケティングが重要なのか
コンテンツマーケティングは昔からあった手法ですが、多くの企業が導入するようになったのは比較的最近のことです。 それには、スマートフォンの普及とネット検索の浸透が大きく関係しているといえます。
現代では手軽に商品やサービスの情報を入手して比較検討できるようになり、さらに検索リテラシーの向上も相まって、消費者自身で必要とするモノやコトを自発的に取捨選択できます。
そのため消費者が広告を見る必要性が薄れ、コンテンツの邪魔になっているという認識が強くなり、次第に広告は見ない・飛ばすといった人が増えているのです。
企業側は、こういった状況から「ユーザーにとって有益な」コンテンツを提供するコンテンツマーケティングに注力するようになったといえます。
また、広告費の高騰も理由の1つです。
モノがあふれる時代において、相対的に企業間競争が激化したことで、複数の企業間で同じターゲットを狙うことも珍しくなくなっています。広告スペースの需要が高まったこともあり、広告費用の負担が大きくなり、広告が費用対効果の高い手法ではなくなったのです。
コンテンツマーケティングであれば、広告よりも少ない費用で実施できるため、費用対効果が高いといえます。

広告よりも費用をかけずに、ユーザーが必要としている情報を提供できるから、コンテンツマーケティングが活用されているんですね!

そうだね。そのほかにもGoogleがコンテンツの「質」を重視していることも、コンテンツマーケティングが重視される要因の1つだと考えられるよ。

絶対に実施したほうがいいマーケティング手法ですね…!
コンテンツマーケティングの成功事例10選

コンテンツマーケティングって、実際にはどういったことができるんですか?

じゃあ、有名なコンテンツマーケティングの事例をチェックしていこう!
となりのカインズさん(https://magazine.cainz.com/)
注目ポイント
- 月間400万PV
- キャッチーなタイトルでお役立ち情報を提供
- ジャンルを問わない記事
「となりのカインズさん」は、埼玉県に本社を置き全国で200店舗以上のホームセンターを展開する、株式会社カインズのオウンドメディアです。
2020年6月に立ち上げてから約1年で月間400万PV以上を記録し、注目を集めています。
「ホームセンターを遊び倒すメディア」をキャッチコピーに、遊び心を全面に押し出しながら、毎日の生活が豊かになる役立つ情報を提供しています。
自社商品のアピールに特化せず、バラエティ豊富な記事が並ぶメディアは、まさに「となりの~」という名称にマッチしています。
実際にホームセンターのオウンドメディアとは思えないような見出しが並んでいて、例えば以下のような記事があります。
【速報】沖縄のジャングルから「ターザン」を発見!「単身赴任先、森」の男・キジーに直撃
一見ホームセンターとは関係ない記事に思えますが、記事を読むと1つだけ麻紐の商品紹介が挿入されています。商品名などをタイトルで一切表示せずに、麻紐の利便性につなげる内容の記事は秀逸です。
こういった読者の興味を引いて自社商品に注目してもらう記事は、行動を起こしてもらうというオウンドメディアの目的を見事に果している一例といえます。
また「となりのカインズさん」は、顧客に向けたアピールだけではなく、組織の風土改革を目的としたメディアであることも特徴です。 社内で「多様な価値観を受け入れる環境」を作るために、運用が始まったメディアなのです。 そのため、ホームセンターに少しでも関係がある内容であれば記事にでき、「多様な価値観を受け入れる」会社としての姿勢をメディアで表現できます。
コンテンツマーケティングは顧客だけでなく、社内にもアプローチできる良い例といえます。
木村石鹸(https://www.kimurasoap.co.jp/)
注目ポイント
- 飽和市場でもSNS活用で売上3倍
- 小さなメーカーならではの戦略の実践
- ユーザーとの活発なコミュニケーション
大阪府八尾市に本社を置く木村石鹸工業株式会社(以下、木村石鹸)は、1924年創業の石鹸メーカーです。洗剤・洗浄剤(家庭用・業務用)、バレル研磨用コンパウンドの製造販売を主に行っています。
木村石鹸はメーカーが飽和状態といえるヘアケア市場において、自社開発のシャンプー・コンディショナー「12/JU-NI(ジューニ)」を投入し、結果として売上を3倍に伸ばしました。
木村石鹸が打ち出した戦略は「正直な処方で作るヘアケアブランド」です。
ヘアケア製品に含まれる有効成分や自然成分、あるいはマーケティングとしてもイメージが良い「植物由来」「泡立ち」「まとまり」といった言葉を羅列することなく、「正直」という商品コンセプトに立ち返った訴求で、競合との差別化を行いました。
シンプルに「本当に髪に良い処方」とは何かを考えて開発したことが共感を呼んでいます。
広告に見せない広告が多い中、木村石鹸はTwitterやInstagramであえて「これは広告です」と「正直」に広告を展開し、大きな反響を呼びました。

広告は避けられる傾向があるのに、あえて広告であることをアピールするのはすごい手法ですね!

そうだね。さらにメッセージやコメントに対して丁寧に返信を行ったことも、リピーターや新規ファンの獲得につながったんだ。
北欧、暮らしの道具店(https://hokuohkurashi.com/)
注目ポイント
- 北欧に特化したECサイトを運営
- 短編ドラマの配信など暮らしの世界観を重視
- ジャンルを問わない記事
「北欧、暮らしの道具店」は、株式会社クラシコムが運営するネットショップです。
北欧にまつわる雑貨や衣類が主力商品ですが、ただ商品を販売するプラットフォームではないところが特徴です。
世界中の商品やオリジナル商品の販売はもちろん、コラム・ドキュメンタリー・ドラマ・ポッドキャスト・映画など、様々なコンテンツを提供しています。
Instagramでは、「生活の中のちょっとした「非日常」」をコンセプトに、見た人が楽しめる投稿で人気を集めています。
YouTubeチャンネルを使った動画マーケティングにも力を入れており、チャンネル登録者数は55.7万人(2023年4月時点)と、企業チャンネルとしては驚異的な人気です。
利益につながるとはいえないコンテンツも多いですが、費用対効果はあえて度外視し、一貫した世界観の表現によるファンの獲得に力を注いでいる点が特徴です。
目先の利益を考えるとリスクを伴うやり方ですが、北欧の暮らしに憧れる方々のニーズを考慮し、徹底したイメージ戦略を行って認知の拡大に貢献している事例といえます。
100円SHOPダイソー(https://www.instagram.com/daiso_official/)
注目ポイント
- いわずと知れた100円ショップの先駆け
- Instagramを巧みに活用
- 100円という価値とのギャップを生み出すコンテンツ
100円SHOPダイソー(以下、ダイソー)は、広島県に本社を置く株式会社大創産業が運営し、直営・代理あわせて全国に4,000店舗以上を展開する店舗型のショップです。
ダイソーの店舗は海外にも数多く存在し、26の国と地域で2,000店舗以上展開されています。
ダイソーのコンテンツマーケティングにおける主要なプラットフォームは、フォロワー数180.7万人(2023年4月時点)のInstagramです。
質問や問い合わせは受け付けていませんが、どの投稿でも100円ショップのものとは思えない高級感を演出していることが特徴です。
「どうせ100円」というマイナスイメージではなく、「100円でここまで得する」という訴求がユーザーの購買意欲を刺激しています。
専門家とコラボして信頼性の高い情報を伝えたり、ユーザーの理解度に合わせて画像と動画両方で伝えたりと、様々な取り組みを行っている点が特徴です。
Instagramを活用して自社の商品をアピールしたい、ユーザーに興味を持ってもらえる投稿をしたい、といった方におすすめの事例です。
サントリー(https://www.suntory.co.jp/)
注目ポイント
- 動画でのマーケティングに定評
- アルコールを扱う飲料メーカーながら飲酒について啓発
- カクテルのレシピで上位表示を連発
日本有数の飲料メーカーであるサントリーは、従業員4万人超、連結売上も3兆円に迫る大企業です。
サントリーは、動画を使ったコンテンツマーケティングで定評があります。

サントリーの商品のCMはよく見ますが、それ以外にも動画を作っているんですか?

企業理念を伝えたり、飲酒に関する啓発動画を出したりしているんだ。
サントリーでは「水と生きる」という企業理念を伝えるために、動画を活用しています。丁寧に作り込まれた動画は、わかりづらい理念をユーザーにわかりやすく伝え、興味を持ってもらうために大きな役割を果たしているのです。
水と生きる『水と生きるMOVIE』1分33秒 サントリー – YouTube
また、アルコール飲料を販売する企業でありながら、アルコール依存症を懸念した啓発動画をYouTubeで公開しています。
相反する活動にも思えますが、キャラクターを使ったわかりやすい動画で「適正飲酒」を解説し、飲酒がマイナスなイメージにならないよう、アルコール依存症に関する正しい知識を提供しているのです。
「5)お酒をやめられないと感じたら」 1分16秒 – YouTube
そのほか、サントリーではテキストコンテンツも充実しています。
「カクテルレシピ検索」では、その専門性と豊富なコンテンツ量から、「カクテル名+レシピ」などのキーワードで、いくつも上位表示を達成しているのです。
カクテルレシピ – Liqueur&Cocktail – サントリー
画像つきで検索画面に表示されるため、検索からのユーザーも多く獲得できています。
ハーゲンダッツジャパン(https://www.haagen-dazs.co.jp/)
注目ポイント
- InstagramなどSNSの総ファン数は1,000万人以上
- レシピや映画、TVCMギャラリーなど豊富なコンテンツ
- ユーザー参加型イベントが活発
東京に本社を置くハーゲンダッツジャパン株式会社が展開するコンテンツマーケティングは、SNSの積極的な活用が特徴です。
Instagram・Facebook・Twitter・LINEを上手く使い分けた結果、合計1,000万人以上のファン数を誇ります。
Instagramでは自社商品だけでなく、映画の紹介やレシピの紹介も行っています。
映画に関する投稿には「クリスピーサンドを片手に」というフレーズを載せ、クリスピーサンドと映画の相性の良さをアピールしている点が特徴です。
さらにクリスピーサンドのキャラクターを考えるために、クリスピーサンド好きが集まるファンミーティングなども開催しています。
SNSを活用したプレゼントキャンペーンも定期的に実施され、ファンとの交流の場を大切にするコンテンツマーケティングの例といえます。
ネスレアミューズ(https://nestle.jp/)
注目ポイント
- キットカットやネスカフェなど各ブランドをつなぐオウンドメディア
- コンテンツを起点に顧客のブランド理解を深める役割
- 消費者に寄り添うコンテンツページ
ネスレアミューズは、スイスにある世界的な食品メーカー「ネスレ」の日本法人であるネスレ日本が運営するオウンドメディアです。
コーヒーの「ネスカフェ」やチョコレートの「キットカット」が有名で、そのほかにも栄養補助食品やペットフードなど、20近いブランドを展開している企業です。
ネスレアミューズは、その数多くのブランドとECサイトの橋渡し役を担うオウンドメディアで、独自のコンテンツも充実しています。
各ブランドサイトはもちろん、キャンペーンサイトやエンタメコンテンツ、オンラインショップまで、様々なコンテンツがひとまとめになっています。
認知拡大を目的とするSNSや、商品購入を目的とするオンラインショップだけでなく、SEO対策も兼ねたコンテンツページも作成することで、ユーザーとのコミュニケーションを取る役割もあるのです。
Money Forward Bizpedia(https://biz.moneyforward.com/blog/)
注目ポイント
- BtoBにおけるコンテンツマーケティングの良い事例
- 主に中小企業に向けたお役立ち情報をブログ中心に配信
- 税金や労務に関するプロが監修しており記事の信頼性が高い
会計ソフトや家計管理アプリなどで知られる株式会社マネーフォワードが運営する、法人向けのオウンドメディアです。
2014年の「マネーフォワード公式ブログ」リリースから、「BIZ KARTE」にリニューアル後、2019年より現在の「Money Forward Bizpedia」となりました。
「バックオフィスの悩みに答えを」というコンセプトで、会計・確定申告・経費精算・給与計算など中小企業向けにバックオフィス業務の悩みを解決する内容をブログで発信しています。
コンテンツの内容は税理士や公認会計士といったプロの監修が入っているため、情報の信頼性には定評があります。
カテゴリ分けがシンプルで、「コスト削減」「業務効率化」「電子帳簿保存法」など、欲しい情報に辿り着きやすいサイト構造も特徴です。
SUUMOタウン(https://suumo.jp/town/)
注目ポイント
- リクルート運営のオウンドメディア
- 住まいと暮らし、街に関する情報とで棲み分け
- SEOを意識しすぎない記事が共感を生む
SUUMOタウンは、株式会社リクルートが運営するオウンドメディアです。
同社ではSUUMOジャーナルというオウンドメディアも運用していますが、こちらは住まいと暮らしを綴る内容で、SUUMOタウンは街に関するエッセイやコラムが中心になっています。
SUUMOタウンは、自分が知らない街のことを知りたいときに最適なメディアです。
たくさんのブロガーやライターの方が、街に対する想いを執筆した記事が豊富に投稿されています。
SUUMOタウンの特徴は、テキストコンテンツを投稿するメディアでありながら、SEO対策に重きを置いていない点です。
コンテンツSEOを意識すれば、やや画一的な記事構成と内容に偏りがちですが、住んでいる街への想いや生活ぶりを様々な人に書いてもらうことで、他のメディアとの差別化を図っています。
サイボウズ式(https://cybozushiki.cybozu.co.jp/)
注目ポイント
- 仕事に関するコンテンツを多く発信するBtoBメディア
- 読者に寄り添い、無理なプロモーションがない
- 認知度向上とブランディングが目的
サイボウズ式は、「kintone」や「サイボウズ Office」といったサービスを展開する「サイボウズ株式会社」が運営するメディアです。
「新しい価値を生み出すチームのメディア」をテーマに、仕事・働き方に関するコンテンツを多く発信しています。
サイボウズ式は商品やサービスのプロモーションというよりは、運営会社の認知度向上やブランディングを目的としています。
そのため、お問い合わせや資料請求フォームへの誘導がない、珍しいタイプのオウンドメディアです。
あくまでも情報を必要とする読者へ読んでもらうことを目的としており、継続して記事を増やしていくことで、多くの人に愛されるメディアになったのです。

同じコンテンツマーケティングでも、企業によって様々な取り組みがあるんですね!

提供する商品・サービス、コンテンツマーケティングを行う目的などを考慮して、自社に最適な方法を実施することが重要だよ!
コンテンツマーケティングを始める手順
実際にコンテンツマーケティングを始める際は、以下の手順を参考にしてください。
STEP 1サイトを作る
Webサイトが無い場合は、サイトを作るところから始めましょう。
Webサイトを作る際は、CMS(コンテンツマネジメントシステム)の活用がおすすめです。CMSとはサイト制作の知識が無い方でも活用しやすい仕組みのことです。
CMSの中でも世界中で利用されているWordPressであれば、使い方も調べやすく、コンテンツマーケティングにも適しています。
STEP 2サイトのペルソナを設定する
コンテンツマーケティングを実施する際は、ペルソナの設定が欠かせません。 ペルソナとは、ターゲットとなる顧客層の中で、最も代表的な人物像を想定したものです。
例えば、ある大都市に旗艦店を有する化粧品メーカーのペルソナには、「都会的でファッションに敏感な、20代後半のキャリアOL」が候補として挙げられます。
ペルソナ設定によって、ターゲット層を深く理解でき、マーケティング戦略の改善が可能になります。また、コンテンツの質が向上し共感を呼びやすくなる点もメリットです。
STEP 3カスタマージャーニーマップを作る
カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客が商品やサービスへ関心を持ってから購入にいたるまでのプロセスを、旅(ジャーニー)に例えて表したものです。
潜在ニーズや顕在ニーズを探すだけでなく、それに基づいたコンテンツの作成と提供に活かすことがカスタマージャーニーマップを作成する目的です。
カスタマージャーニーマップは、以下の手順で作ります。
- ペルソナの設定
- 縦軸(行動、タッチポイント、思考、感情、課題)を設定
- 横軸(認知、情報収集・比較検討、体験・購入、購入後)を設定
- 顧客行動の整理
- 顧客感情の整理
- タッチポイントの設定
- マッピング
STEP 4コンテンツマップを作る
コンテンツマップとは、Webサイトのコンテンツの構造を表す地図のことです。サイトのどの部分にどのコンテンツがあるのか可視化できるため、新しくサイトを作るときや、リニューアルするときに必要な作業といえます。
一般的な作成手順は以下です。
- コンテンツを洗い出して可視化
- 洗い出したコンテンツの見直し
- コンテンツを設置する場所を決める(コンテンツマップに組み込む)
- コンテンツ制作のスケジュールを決める
コンテンツマップを作成しておけば、コンテンツの管理・効果の評価・改善・導線の確認など、詳細を社内やチームで共有できます。コンテンツマーケティングの効率的な運営に役立つため、重要な工程です。
STEP 5実際にコンテンツを作る
コンテンツマップの作成で必要なコンテンツ数や内容は決まっているため、次は実際にコンテンツを作っていきます。
ブログやホームページに載せる記事は、以下の手順で作成します。
- 記事制作の計画を立てる
- 全体像の決定(テーマ・トンマナ・レギュレーションなど)
- 記事単位の構成案(プロット)作成
- 原稿作成
- 修正・校正・校閲
- 編集(画像や表・グラフの挿入など)
- CMSヘの入稿・公開
また、記事制作は内製(自社内で原稿作成から公開まで)と、外部委託(記事制作の会社、編プロ、外部ライターの登用など)の2通りの方法があります。
理想的なのは、内製と外部委託を同時並行で進めることです。
重要なキーワードを含むコンテンツや、社内のノウハウやサービスに関するコンテンツは内製で対応し、それ以外は外部のライターに依頼するといったスタイルです。
外部委託の際は、丸投げは絶対にNGです。仮に外部ライターに依頼するとしても、完璧な原稿は納品されないと考えて、編集や校正を社内で行う体制作りも重要になります。
STEP 6評価と改善を繰り返す
コンテンツマーケティングでは、KPI(Key Performance Indicators)の設定が重要です。
KPIとは、最終的な目標であるKGI(Key Goal Indicator)を達成するための細かい目標のことを指します。
KPIの例として、以下が挙げられます。
- 検索順位
- UU(ユニークユーザー)
- PV(ページビュー)
- SNSのシェア、いいね、インプレッションなど
- メール開封率
- コメント数
- 問い合わせや相談の数
- 資料ダウンロード数
こういった項目でKPIを設けて一定期間測定し、フィードバックと改善、評価を繰り返します。
KPIの結果をもとに改善点を洗い出し、改善策を検討することが重要です。
目標未達の場合は原因を追及し、ときにはKPIの見直しや調整も行っていきます。
コンテンツマーケティングのメリット

ここまでコンテンツマーケティングの概要や手順を学んだけど、理解できたかな?

はい!理解できました!

じゃあ次はコンテンツマーケティングのメリット・デメリットを知っていこう!
MERIT 1広告費用を抑えることができる
テレビCMや新聞などマス媒体に広告を掲載するためには、莫大な広告費用が必要です。広告掲載期間が終了すれば、その効果もストップしてしまいます。
Web広告も同様で、出稿している限り費用負担が続いてしまうのです。
それに対して、ブログやホームページといったストックメディアを中心とするコンテンツマーケティングであれば、検索やSNSのシェアなどによって、直接的な広告費用をかけずに集客できます。
さらにコンテンツを継続的に投稿することで、自社メディアの評価も向上し、より多くのユーザーがアクセスするようになるため、費用対効果が高まり、長期的な効果を見込めるのです。
MERIT 2Webサイトへの信頼度が高まる
ユーザーが求める専門的な知識や情報を提供することで、Webサイトの信頼性を高めることができます。
例えば、ある企業が自社製品の詳細や機能に関するコンテンツを提供していれば、関心のあるユーザーはコンテンツを見て、その製品や技術力について詳しく知ることができます。
その情報が正確で役に立つとユーザーが感じれば、Webサイトを運営する企業に対して信頼を抱くようになります。
その結果、ブランドの認知度が高まり、顧客として長期的な関係を築くことにつながるのです。
MERIT 3地域を問わず集客できる
オンラインビジネスを展開している、あるいは計画している企業にとって、コンテンツマーケティングは地理的な格差を克服するために有効な手段です。
地方で営業する企業のWebサイトでも、多くのユーザーからアクセスされる可能性を秘めています。
幅広いエリアをターゲットにできるため、全国展開を考えている企業は積極的にコンテンツマーケティングに取り組むことがおすすめです。
MERIT 4顧客のニーズを高められる
コンテンツマーケティングでは、顧客のニーズに着目したコンテンツ作成が重要です。
顧客のニーズにはすでに明らかとなっているニーズ(顕在ニーズ)と、ユーザーが気付いていないニーズ(潜在ニーズ)の2種類があります。
コンテンツマーケティングでは、潜在ニーズを掘り起こしたり、新たなニーズを作り出したりすることが可能です。
潜在ニーズを意識したコンテンツを設置することで、「何が必要かわからない」「必要だと思っていなかった」ユーザーが、ニーズを自覚するきっかけになるのです。
MERIT 5長期的に集客できる
コンテンツマーケティングでは、Webサイトやブログなどストック型のメディアをメインに更新していきます。
ユーザーのニーズを満たし、検索クエリとの関連性も高いコンテンツであれば、検索エンジンに評価され、上位表示される可能性が高くなるのです。
検索エンジンのアルゴリズムの更新によって、一時的に順位が変動することもありますが、高品質なコンテンツであればそのリスクも少ないといえます。
質の高いコンテンツを増やしていくことができれば、その分検索からの流入が増え、Webサイトが存在する限り長期的に集客できるのです。
コンテンツマーケティングのデメリット
コンテンツマーケティングには、メリットだけでなくデメリットも存在します。
そのため、事前にデメリットとその解決方法を知っておきましょう。
DEMERIT 1継続的な発信が必要
まず、避けられないデメリットとして、継続的なコンテンツの発信が必要になる点が挙げられます。
仮に更新の頻度が半年、1年という間隔であれば、コンテンツの価値が下がっていくだけでなく、企業としての運営姿勢が問われます。
そのような状況だと顧客はすぐに離れてしまいますし、検索エンジンにも新しいトピックがないと判断され、評価が下がってしまう可能性が高いです。
しかし、毎日のように情報を出し続けなければいけないわけではありません。
必要とされる情報を、必要なタイミングで提供することが大切です。
継続的にコンテンツを発信するためには、事業規模問わず以下のポイントを意識してみてください。
- 計画を立てて実行
- アウトソーシングの活用
- 社内の協力体制を整備
- コンテンツの再利用
DEMERIT 2コンテンツ作成が必要
コンテンツマーケティングにおいては当たり前のことですが、コンテンツの作成が必要になります。場合によっては、コンテンツ作成そのものが負担に感じることもあるでしょう。
コンテンツの質を維持することが難しかったり、時間やコストがかかったりと、デメリットに感じる部分もあります。
コンテンツ作成が負担に感じる場合、まず量よりも質を重視することがおすすめです。
内容が薄いコンテンツを大量に作るよりも、有益で質の高いコンテンツを少数提供するほうが、長い目で見ても効果的といえます。
また、内製だけでなく、アウトソーシングやテンプレートを活用した効率化、フォーマット化した文章構成なども、質を下げずに効率良くコンテンツを作成する方法の1つです。
DEMERIT 3効果が出るまで時間がかかる
コンテンツマーケティングは長期的かつ持続的な集客が可能ですが、その効果が現れるまで比較的長い時間を必要とします。
検索エンジンでの上位表示や、SNSでのシェアや口コミでの拡散、顧客の信頼獲得といった結果を出すためには、ある程度の時間がかかるのです。
少しでも早く効果を出すには、SEO対策をあわせて実践したり、SNSでのプロモーションを行ったりと、ほかの施策も並行して行うことが大切です。

デメリットがあっても、解決方法を知っていれば安心ですね!

そうだね。デメリットも理解して、早い段階からコツコツと積み上げていくことが、コンテンツマーケティング成功への近道だよ!
コンテンツマーケティングを加速させる5つのコツ

コンテンツマーケティングを成功させるためには、「まずコンテンツを見つけてもらう」ことが大切なんだ。

ユーザーにコンテンツが早く届けば、その分コンテンツマーケティングの成果も早く出る可能性があるってことですね!

そうだね。だからまずは、コンテンツを見つけてもらうための工夫を行おう!
こちらでは、コンテンツマーケティングを加速させるためにできることをご紹介します。
POINT 1競合サイトを分析しよう
競合他社のサイトを分析することで、多くの情報を得られます。
「自社になくて競合にあるものは何か」といった視点で分析すると、自社が抱える問題や把握していないニーズを発見でき、その発見は顧客獲得のチャンスです。
また、複数の競合を定点観測することで、自社の戦略を見直すヒントが得られ、競争力を維持できます。
POINT 2プレスリリースを活用しよう
プレスリリースの狙いは、マスメディアに向けて公式情報を発信し、ニュースや特集という形で取り上げてもらうことです。
取り上げられる確率は決して高くはありませんが、掲載に至った場合は、知名度・認知度の向上だけでなく、SEO効果や信頼性・専門性の向上も期待できます。
プレスリリースには、メディアの編集者や広報の部署に対して個別に働きかける方法と、代行業者を利用する方法があります。 複数の媒体で一斉配信してほしい場合は、代行業者の利用がおすすめです。
POINT 3SNS発信からサイトに誘導しよう
SNSの活用は、顧客との接点を増やし、拡散性を最大限に活かすことを目的としています。
SNSは読者との双方向のコミュニケーションが可能ですので、相手に安心感や信頼感を与えるために欠かせないツールです。
また、ターゲットによって、Twitter・Facebook・Instagram・TikTokなどを使い分けたり、内容を少し変えたり、配信のタイミングなども研究すると、さらに効果が高まります。
そして、SNSはフローメディアですので、情報提供にはリアルタイム性や速報性が重視されます。しかし、ターゲット層へのアプローチの速さはストックメディアとは比較になりません。
誘導すべきサイトを明示しておけば、関心を示したユーザーが訪問してくれますし、ユーザー同士で告知や紹介を行ってくれる可能性もあるため、効果が高い方法といえます。
コンテンツをWebサイトで公開し、SNSで更新を通知するなど、両方を上手く活用していくことがおすすめです。
POINT 4広告を組み合わせる
コンテンツマーケティングのデメリットとして、効果が表れるまでに時間を要するとお伝えしました。その解決のために、ある程度の期間は広告を併用するという手段もあります。
例えば、リマーケティング広告(リターゲティング広告)は、仕組みとして自社サイトの再訪を促してくれますし、商品やサービスの成約を後押ししてくれます。
ネイティブ広告であれば、ブログの記事に溶け込んでコンテンツを邪魔することなく、アプローチできます。
その他、ターゲットの年齢層に合わせて、30代以下にはLINE広告、40代、50代にはFacebook広告を利用する方法もおすすめです。
こういった方法で一定期間広告を活用すれば、コンテンツと顧客の接点を増やすことにつながります。
POINT 5SEOを理解する
コンテンツを作成しただけでは、検索エンジンからの集客を伸ばすことは難しいといえます。そのため、SEOへの理解は必須です。
内部対策や外部対策など、検索エンジンへの最適化を実行して、検索結果で上位表示されれば、アクセスの機会が増えます。
コンテンツマーケティングとSEO対策は、常にセットで運用することがWeb担当者には求められるのです。
よくある質問
こちらでは、コンテンツマーケティングに関するご質問にお答えします。
顧客について知る方法は?
顧客が何を求めているのかより詳しく知るためには、Googleキーワードプランナーや、ラッコキーワードの活用がおすすめです。
Googleが提供するオンラインツールであるキーワードプランナーは、キーワードごとに月間平均検索ボリュームや競合性の目安を表示してくれるため、ニーズの予測に役立ちます。
また、関連キーワードを提案する機能もあり、新たなニーズのヒントを得ることができます。
ラッコキーワードは、AIによる関連ワードの提案、周辺語・連想語・類語・同義語による深堀調査など、多くの機能を提供しているオンラインツールです。
Googleのサジェスト(提案・予測)ワードを、数十、数百と一度に表示する機能があるため、ニーズの把握に役立ちます。
さらにQ&Aサイトの「Yahoo!知恵袋」「教えて!goo」から、キーワードに関連する投稿内容を表示する機能があり、顧客が抱えていそうな悩みをピックアップすることが可能です。
どちらのツールも顧客のニーズを把握したり、ニッチな分野をさらに深く掘り下げたりするときに重宝します。
コンテンツマーケティングのコンテンツ内容はどうやって決めるの?
一般的なコンテンツマーケティングの手順は、以下のとおりです。
- サイトを作る
- ペルソナを設定する
- カスタマージャーニーマップを作る
- コンテンツマップを作る
- 実際にコンテンツを作る
- 評価と改善を繰り返す
この中でも、コンテンツの内容を決めるためには「カスタマージャーニーマップ」と「コンテンツマップ」が重要です。
この2つをもとに、コンテンツの内容を決めていきましょう。
「コンテンツ」とはどういう意味ですか?
コンテンツとは、ある媒体やプラットフォーム上で提供される情報や、その中身のことを指します。
具体的には、Webサイト(ホームページ)やブログ、SNS、LINEなどで公開されている文字情報をはじめ、動画、音声、画像などがコンテンツに該当します。
まとめ
この記事では、マーケティングを勉強しはじめたWeb担当者に向けて、コンテンツマーケティングの目的や役割、手順、必要性などを解説しました。

コンテンツマーケティングについて理解できたかな?

はい!もう説明できます!
コンテンツマーケティングは、集客面がクローズアップされがちですが、あらゆる経営課題について柔軟に対応できることが強みです。
そのためには社内での運営体制構築と情報の共有、アウトソーシングの活用、メディアを通じてのコミュニケーション方法などを整備しながら、中長期的な目線で施策を実施していくようにしましょう。